コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 流 星 恋 愛 。 ( No.159 )
- 日時: 2012/11/15 19:15
- 名前: ゆえ ◆Stella/Y/Y (ID: RGB9kNzS)
【 第五十九話 】
友香がガラリと教室のドアを開けて中に入る。わたしもそれに続いて教室に入ると、真希くんが友達と談笑している姿が見えた。その姿はさっきまであんなに無愛想だった真希くんとは全然違くて、一週間前の、いつもの優しい真希くんだった。クラスメートの男子には普通に笑うのに、なんでわたしの前ではあんなに機嫌が悪そうなんだろうか、全然分からない。
わたしはいつも通り机の中に教科書を入れる。あれからわたしも、自分が自分でないように、気分が悪くなることが全く、とは言えないが無くなった。眩暈も多少するが保健室に行くまでの酷さではなく、ここ最近は朝から放課後まで教室で過ごすようになっていた。
わたしについた不本意なあだ名を作った女子も、最近はわたしの事を悪く言わないようになった。逆に、毎日「おはよう広瀬さん」と優しく声かけてくれる。美妃ちゃんと桃乃ちゃんともあれからもっと仲良くなったし、翼くんとも、つ、付き合うことになったし——・・・。
夢のように、幸せだ。
後は真希くんが、前みたいに笑ってくれたらいいのにな。
わたしはそう思いながら、いつものように友香の机に向かった。
友香はさっきまでの暗さが嘘のように、明るく笑顔でいつものふたりと話していた。わたしはふたりに「おはよう」と言い、混ざろうと思うと——・・・。
「真優」
「・・・・・・あ」
廊下から、翼くんに声をかけられる。
「ど、どうしたの?」
「いや、クラスの奴ら誰も宿題教えてくれなくて。真優頭いいだろ?」
「え、いや別にたいしたことないよ・・・」
それよりも気になるのは、教室内から刺さる視線。
「もしかして、あのふたり・・・」と言う声まで聞こえて、わたしは真っ赤になる。
そんなわたしを翼くんは不思議そうに見て、ずいっと顔を引き寄せた。
「真優、顔赤くねえ?熱でもあんのか?」
「えっ、いや、ひあっ」
コツンと額と額をくっつけられる。
な、何この漫画みたいなシチュエーションは・・・・・・!
その時、
「・・・俺、具合悪いから保健室行くわ」
「え、真希大丈夫か?」
「・・・・・・。多分、無理」
逆のドアから、真希くんが出ていくのを見た。
離れた額を抑えながら、わたしは「真希くん・・・?」とつぶやいた。
本当に、どうしたんだろうか?
友香を見ると、真希くんが出て行ったドアをじっと、悲しそうな顔で見ていた。
——何が、あったんだろう。