コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 流 星 恋 愛 。 ( No.178 )
- 日時: 2012/12/09 11:38
- 名前: 笑苺 ◆Stella/Y/Y (ID: qd1P8yNT)
- 参照: 元 ゆ え で す 。
【 第六十八話 】
わたしは目を見開いて、翼くんと彩奈ちゃんのほうを見る。翼くんは、ゆっくりと彩奈ちゃんを離れさせて、じっとわたしの方を見た。
「・・・広瀬、彩奈が言ってることは本当なのか?」
「・・・うん」
小さいことだけれど。
呼び方が、真優から広瀬に戻った。
やっぱりわたしのこと、嫌いになったの・・・?
「その男って、誰?」
「ま、まさきくん・・・」
「・・・・・・あぁ、泉弟・・・」
翼くんはあいつか、と呟き、上を向いたあと、もう一度わたしの方を見た。
「で?
保健室で、何してたんだ?」
「だからっ、絶対この女、やましいことっ・・・」
「彩奈は黙って」
「・・・っ!」
翼くんがはっきりと彩奈ちゃんを止める。
強い眼差しでわたしだけを見詰める、翼くん。
不謹慎だけど、ドキドキする。
夕日が翼くんを照らして、さらにかっこよさが増す。
「・・・告白、された」
「・・・・・・へえ?」
「けど、断ったっ・・・!翼くんが好きだって、真希くんも好きだけど、翼くんへの好きの気持ちとは違うってっ・・・・・・」
「じゃっ、じゃあなんで、笑って出てきたのよ!」
「それはっ・・・、進めると、思ったからっ・・・」
あぁ、クラクラ眩暈がする。
けれど、倒れない。倒れたくない。
——逃げたくない。
「・・・・・・彩奈」
「っ、何・・・?」
「ごめん」
「え・・・・・・?」
翼くんが彩奈ちゃんを見て、言う。
「・・・俺も、彩奈のこと好きだったよ。
・・・分かる?好きだよ、じゃない。好きだったよ、なんだよ」
「〜っ・・・」
「彩奈は俺を助けてくれたから。俺の前で笑ってくれたから。
・・・けど、本当にごめん」
「翼・・・・・・」
「俺は、真優が好きだから」
「・・・!」
翼くんはわたしの腕をグイッと引いて、わたしはその勢いについていけず、ポスンと翼くんの胸に飛び込む形になってしまう。
「・・・・・・真優は最低な女なんかじゃねえよ。こいつはこいつなりに頑張って生きてるんだ。保健室のことだって、自分が進むためにやったことだ。
——俺はそんな子を、最低だとは思わない」
「翼、くん・・・・・・」
ギュッと思い切り抱かれて、息ができなくなる。
けど、嬉しい苦しみ。
翼くんは、わたしを選んでくれた・・・。
「・・・ごめん、彩奈。
——好きになってくれて・・・。好きでいさせてくれて、ありがとう」
「・・・っこちらこそ・・・」
彩奈ちゃんは、溢れた涙を手の甲で拭き取り、綺麗な笑顔で
「ありがとっ、つばさ・・・!」
そう言った。
「あたし帰るねっ」と彩奈ちゃんが逆方向に走っていったのを見送り、わたしと翼くんは顔を見合わせた。
「・・・さて、真優」
「は、はいっ・・・・・・」
「・・・・・・もう一度、言ってもらおうか?」
「へ?」
ニヤリと意地悪く笑って、翼くんはわたしをギュッと抱きしめた。
「・・・わかるだろ?」
「——っ、う、ん・・・・・・」
わかるよ、翼くん。
わたしも翼くんの背中に腕を回して、抱きしめ返した。
「——好き、大好き・・・・・・」
キミは、わたしの全て。
第五章 E N D