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コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- 第二話 転生少女 ( No.11 )
- 日時: 2012/11/23 18:45
- 名前: にゅるあ ◆6YRzs3gfaA (ID: yIVvsUU5)
「あの、付き合え、るか?」
「うん、いいよ。付き合おっか? ……よろしくね、神崎君」
面白いほど真っ赤な君。それでいて、どこか嬉しそうな君。
ああ、好きだなあ。
——
「椎名唯香様でしょうか」
「……? はい」
「お初にお目にかかります。私は朝比奈紫苑と申します」
聞いたことのない名前だった。
つまり、今までで会ったことのない。
長い黒髪を一つに結んで、黒の短い浴衣を着ている。どこか変わった雰囲気の人。
見た目は自分と同じくらいの歳だと思った。
「貴方は、転生の力をお持ちですね」
「え……、君、私のことを知ってるの?」
「はい。存じ上げております。今までの転生の記憶があるとのことで」
表情を一切変えずに言う。
「君は、私に何か用なの?」
「貴方の力が必要です。私についてきて頂けますか?」
「……いいよ。でも、君のことを教えてもらえる?」
「わかりました。ご察しの通り、私は通常の人とは違います」
そこで、紫苑は小さなナイフを取り出す。唯香はそれを見て、少し身構える。
紫苑は自分の腕を小さく切る。
下に何滴か血が落ちて、唯香は驚く。
さらに驚いたのは、その腕の傷が一瞬で消えたこと。
正しくは傷がふさがったのだけど、その速さからは、消えるという表現の方が合っていた。
「私は、朝比奈紫苑。歳は、六千二百十四歳です」
「っ!」
歳の多さに驚いたのは勿論だった。けれど、もっと驚いたことは。
自分の過ごしてきた時間と、その歳が同じだということ。
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