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第二話 転生少女 ( No.12 )
日時: 2012/11/23 18:37
名前: にゅるあ ◆6YRzs3gfaA (ID: yIVvsUU5)

「私は、不老不死です」
「不老不死……?」

「はい。15歳のときから体の成長が止まり、以来ずっと生き続けています」

「君」
「紫苑と呼んでいただければ」
「紫苑ちゃん」
ちゃん付けが意外だったのか、少し驚いたようだった。

「どこに行くつもりなの?」
「私達と同じように、昔からの記憶を持つ方のところです。ついて来ていただけますか?」

戸惑わなかった。
唯香は無言で頷いて、紫苑について行くことにした。

今回こそは、何かを変えるために。


——

「連れてきました。樹様、いらっしゃいますか」


「いるよ。入ってきていいけど?」
連れてこられたのは、路地裏だった。少し遅れて帰ってくる返事。

「失礼致します。唯香様もこちらへ」


「いらっしゃい。唯香って言ったっけ。君が転生少女?」
「……そうだけど」
いたのは、見た目10歳くらいの子供。
だが、表情がとても子供のものとは思えない。
何かを悟ったような、どこか達観しているような。そんな表情だった。

「あぁ、俺は峰岸樹。記憶少年ってとこかな」
「記憶少年?」
「簡単に言えば、人の記憶をそのまま転送できる」

「死んだ人からも転送が可能なので、昔の自分から転送することで、樹様は記憶を持ち続けていることができます」

「うん、紫苑ありがと。さて、これで三人か」
「何が?」

「『時を動かす少年少女』、かな」
「は?」

「唯香さんはお気づきではないのですか?」
紫苑は首を傾げ、不思議そうに言った。

「この、繰り返される。いえ、止まった時間に」
その言葉にまた驚く。自分以外にも、この時間に気づいている人がいることに。

「それには気づいてるよ。ただ、君達の言ってることはわからない」

「教えようか。六千二百十四年前の話を」