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コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- 第三話 時を動かす少年少女 ( No.16 )
- 日時: 2012/11/23 18:47
- 名前: にゅるあ ◆6YRzs3gfaA (ID: yIVvsUU5)
「これから、どうしようかな?」
「樹様のしたいように。私はそれに従うつもりですので」
独り言のように言えば、帰ってくる返事。
「君も変わってるよねえ。なんで俺なんかについてくるわけ?」
「私は、樹様に救われましたから」
「救った覚えはないね」
「樹様がどう思われようと、私の中ではそうなのです」
表情は一切変えず、否定をさせないような目でこちらを見る。樹はそれを見て、また苦笑した。
「本当、変わってるよねえ」
「貴方にだけは言われたくないものですね」
そう言って紫苑は、薄く笑ってみせる。それが作られた物ではないと、樹にはわかった。
「君は感情を見せるようになったね。俺のおかげ?」
ふざけたように笑って、自分を指差した樹。
「……そういうことにしておきましょうか」
「素直じゃないね」
「それも、貴方にだけは言われたくありません」
「紫苑は俺と話す時だけ、言葉に棘があるよねえ……」
「そうですね」
「否定しないんだ」
「私は失礼いたします。樹様、何かあればまたお呼びください」
「はいはーい」
背を向けながら、気怠そうに手を振る樹。
自分にだけ続く永遠の時間。
大嫌いだと思っていたのに、それが今は愛しかった。
どうかこの時間だけは永遠に
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