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コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- 第三話 時を動かす少年少女 ( No.19 )
- 日時: 2012/10/07 16:22
- 名前: にゅるあ ◆6YRzs3gfaA (ID: d.3c/y7H)
『こんばんわ、転生少女』
「……私、電話番号教えた覚えはないよ?」
『記憶少年だからねえ』
「その能力、変なことに使わないでね」
『さあどうでしょう?』
夜、樹からの電話がかかってきた。
「で、何の用かな?」
『君の大好きな透君、だっけ? 彼の記憶を戻す方法をね』
樹が言う言葉に動揺する。
透の名前を教えてないだとか、勝手に記憶を読むなとか、そういうことはどうでもよかった。
『今度会ったとき、教えてあげるよ』
余裕のある言い方。声変わりもしていないというのに、すごく落ち着いていて。
————
「おう。唯香、おはよう」
「……おはよー」
「なあ、なんか今日ぼーっとしてねえ?」
「あのね、神崎君」
そう言えば、首を少し傾げながら次の言葉を待つ君。
たった三文字。三文字だけど、伝えられるかな?
「……。
透」
心臓の音がうるさかった。君にバレてないかな、なんて思いながら。
君の方を向いて。
つい数十秒前に言った言葉に後悔したんだ。
「か、んざき君っ!」
傾く、君の身体。
倒れる瞬間、小さく動いた口元。何を言ったのかまではわからなかった。
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