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第五話 不老不死と記憶少年 ( No.49 )
日時: 2012/12/16 19:39
名前: にゅるあ ◆6YRzs3gfaA (ID: au7rBPzb)

出会い、と言えばそれはあまりにも偶然で。
恋、と言えばそれは何かが違っていて。

私の心に光を授けてくれたのは、貴方でした。


第五話 不老不死と記憶少年




私は『特別』だった。
誰もが羨む、『特別』だった。

不老不死。老いることも死ぬこともなく生き続けられる、そんな存在。
化物だと避難され、恐れられ、嫌われて。


「君は別に、他と何も変わらないよ」

「他と何も? ……そのようなことはありません。私は不老不死です」
「不老不死だからって、変わらないよ。他の人間より長生きするだけのことでしょ」

少し前から話しかけてくるようになった少年。
歳は自分より少し下くらいだろうか、普通の少年だった。

「通常の人間には実感も沸かないことでしょう?」
躊躇うように言葉を切ったのは、口に出すにも辛かったから。

「私はこの先も永遠に生き続けなければいけないのです」

それがどんなに辛いことかなんて、理解できないだろう。
理解しなくて良かった、分からなくて良かった。

苦しいのは、私だけで十分だから。

——それなのに


「一緒に生きてあげよっか?」



その言葉が、私にとってどんなに嬉しかったか。
貴方には分からないかもしれないけれど、震えるほど、枯れた涙もまた溢れそうなほど。


「……冗談でも、そんなことを言ってはいけません」
「結構本気だよ?」
「…………」
「あ、照れた?」
「照れてません」

触れないでほしかった。甘えたくなってしまうから。
普通である少年を巻き込むことが、どんなにいけないことかは知っていたから。

そして、一緒に生きる方法なんてどこにもなかったのだから。