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君と出逢って、   =第7話= ( No.16 )
日時: 2012/10/06 17:41
名前: 陽和 ◆yB/R/.3mOQ (ID: kcj49vWg)



〜♪〜♪


カラオケボックスに着いた私たちは熱唱していた。

…私を除いては。


カラオケに来たのに歌わないなんて、来た意味がない。

そう私は思う。


でも、歌わないのではなく、歌えないのだ。

私だって、みんなと仲良く歌ったりしたい。

だけどこのメンバーではそうもいかない。


「私ジュース取りに行ってくるね〜」

歌い終わった菜々がそう言って部屋を出ていった。


菜々が部屋を出ていくと、私の心は軽くなり、楽になる。

菜々がいると何をされるのかといつも正気じゃいられない。

菜々がいないとみんなは何もしてこない。


私はぼーっとテレビ画面を見ていた。


「たっだいま〜」

ジュースの入ったガラスのコップを片手に菜々が戻ってきた。

「おかえり〜」

「それ何ジュース?」

「菜々、次歌うの決めて〜」

みんな菜々にしゃべりかける。


私の心は急に重くなる。

こんなの心臓に悪い。


無意識に溜め息が出た。


「きゃあ!」

溜息と同時ぐらいに菜々の甲高い声が上がった。


その瞬間、体全体にひんやりしたものが伝った。


「あ!ごめーん」

菜々が謝った。


体中がベトベトする。


「ジュース…」

呟いた声は震えていた。


さっきまでうるさかった部屋は静かになっていた。