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コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- 君と出逢って、 =第9話= ( No.24 )
- 日時: 2012/10/13 14:52
- 名前: 陽和 ◆yB/R/.3mOQ (ID: kcj49vWg)
「うっ…うっ…」
カラオケボックスをあとにした私は、右へ左へとよろめきながら歩いていた。
涙はあれから止まらなくて。
家に帰りたい。
ただそれだけを思って歩いていた。
だけど、ふと頭に思い浮かんだことがあった。
泣いたから、目も真っ赤だし、カラオケに行っているはずなのにこんなに早くに帰ってきたら絶対にお母さんは不思議に思う。
心配する。
「どうしよう…」
動いていた足をぴたりと止め、考えた。
どうにか時間を稼げることがないのか——と。
「あ…」
頭にあの場所が思い浮かぶ。
私は止めていた足を再び動かした。
走った。
涙も乾いてしまうほど。
「はあ、はあ…」
息が切れるほど走ったその先は、あの少年と出逢った木の場所だった。
「いるはず…ない…か…」
なぜなのかわからない。
だけど私はあの少年、神城光に逢いたくなった。
「…またお前か」
上を向くとそこにはあの時のように木の枝にのった神城光がいた。
「神城…光…!」
安堵に満ちて私は思わず名前を呼んだ。
「なんでフルネーム呼びなんだよ」
そう吐き捨てながら神…光は下にすとんと降りた。
私の顔が少し明るくなったのを自分でも感じた。
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