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Re: 臆病な人たちの幸福論 ( No.176 )
日時: 2012/12/27 22:55
名前: 火矢 八重 ◆USIWdhRmqk (ID: qgJatE7N)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel6/index.cgi?mode



「うー……歴史とか地理とか、量が多すぎです……」
「まあ確かに、小六からやろうと思えば、これは大変だな……」



 ケンちゃんの、憐れみの声と視線が届いた。

 そう。さっきいったみたいにわたしは、学校の勉強は殆どしていない。ので、小学校高学年から勉強しなければならなかった。

 とはいっても、全く知らないわけじゃない。幽霊の身では、誰にも見えることはなかったので、勝手に授業を受ける(聴く)ことが出来たので、英語や理科などは、大体覚えています。国語は得意中の得意ですので、これも対象外。

 ——というわけで、一番の難関は、社会でした。





「……いくら何でも、これは自分でどうにかしないといけませんね」



 教科書やら参考書やらの山積みを見て、わたしはため息を吐く。

 英語や理科なら、文法とか公式とかあと少しの用語を覚えるだけで、大体大丈夫です。元々、物覚えはどちらかというと良い方なので、ちょっとぐらい多くても、三日ぐらいで覚えられます。……例えでいうのなら、教科書三冊分ぐらいなら、一日で覚えることが出来ます。




 つまり、社会の暗記は、根気良くやるしか方法がない。
 ……それは判るのですが、この山を見るとやる気が削げます。


「……けどまあ、凄いよフウちゃん」



 わたしの様子を見かねてか、本棚の整理をしていた雪ちゃんが声を掛けてくれた。



「フウちゃん、数学のテストで百点満点とっちゃったじゃない! 国語も百点だったし、英語と理科も九十点以上は取れてたし!! 陽子先生と田島先生、驚いていたよ!?」

「数学は公式覚えたら簡単じゃないですか……」




 明るくいうためか、声が上ずっている雪ちゃんに、わたしは一言いい返すと、雪ちゃんは「フウちゃんには数学の出来ない子の気持ちが判らないんだ……」といじけた。そんなに難しいものではないと思いますよ、雪ちゃん。

 何でわたしが、小テストの数学の成績でクラス一位になったのかが判らない。ケンちゃんも百点とってたから、実質二位なんですけど。

 逆に社会の小テストは……0点って本当にあるんですね、驚きました。

 自分でとっていて何いってるのお前、ってケンちゃんに突っ込まれたけど。でも、正直あれは本当にへこみました……。




「……まあ、とにかく覚えるしかないよな」

「ですよねぇ……」



 歴史を深く知ったり、国のことを深く知るっていうのは、結構興味をそそられますけど。ただ覚えるんじゃなくて、歴史を物語のように読んだりとか、国の文化を調べるとか。

 ……生憎と今は、そっちを優先する前に、年号とか人物名とか国名とか、そっちを覚えないといけないみたいです。




「……うぅ……」



 幽霊時代だった頃、テスト期間の生徒たちを羨ましく見ていた自分にいいたい。世の中そんなに甘くはないのだと。