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- Re: 臆病な人たちの幸福論【ダメナコルート完結!】 ( No.337 )
- 日時: 2013/03/20 23:09
- 名前: 火矢 八重 ◆USIWdhRmqk (ID: l6pfUsAS)
というわけで、ネガティブになるのは後にすることになったあたしは、ふと店と店の間にある、路地裏を見た。というか、見てしまった。
「……ね、アレ」
「どうした、すぎは」
「……? どうしたの、二人と」
あたしが声を掛けると、二人はいいかけて、固まる。
暗くても、真夏日の日差しでは見通せれる。ここから見える様子は、明らかにおかしい。——一人の女の子を、三人ぐらいの男の子、それに二人ぐらいの女の子が囲んでいる。
この道は昔賑わった商店街だが、ショッピングセンターに人気を取られ、廃れてしまい、今じゃ人も三、四人しか通らない。
ということは——。
「こんな街中でかごめかごめをしてるなんて、中々健全ですね」
真顔で佐藤がボケたので、あたしと今井はずっこけかかった。
この表情、明らかに本気でいってる。佐藤は手のかからない良い子と評判だが、たまに天然ボケが凄まじすぎる。
「アンタの目は節穴か!」
バシ! と、佐藤の頭を今井がチョップした。「え、違うの!?」と佐藤が少し傷ついた顔で驚く。
「かごめかごめでも、後に『リンチ』がつくタイプのかごめだと思うよ。しかも凄く健全じゃない方ね」
「え、ミンチ!? バラバラ殺人!?」
「リンチだよ! あとバラバラ殺人ってナニ!?」
佐藤のボケに、再び今井が突っ込む。
「え……ミンチ=ひき肉=殺人=処理=バラバラ=人肉缶詰、が常識じゃないんですか!?」
「あ。アンタ昨日ひ●らしやったね。目明し編を」
「っていうかナニその公式は」
「あ、ひぐ●しじゃないですよ。じゅ●べえ●えすとです」
「ファミコン!?」
「……ゴメン話についていけない」
所詮マリカしかやってないDS初心者には、全然わかんない。後佐藤、そんな顔をしてなんでそんなグロイものいえるの。
「……というか、あれどうするの。普通に見ても穏やかじゃないけれど」
「うーん……3Pでヤるつもりなのかしら」
「だからアンタは何で下ネタの方へ走るの?」
今井よ。想像するのはカツアゲまでにしておこうよ。
「とりあえず、いってみよう!」
「え、あへ!?」
あたしが反応する前に、佐藤は既にあの輪に割り込む勢いであった。
「そうね、止めないとマズそうだわアレ」
「いや、そうなんだけどね!? 相手には男が三人居るし、腕力じゃ勝てないだろうし、ここは一つ冷静になって通報したほうが……てちょっとー! お二人さーん!?」
何であの二人は、自分から首を突っ込んでいくのかな!?
そう心の中で叫びつつ、結局あたしも二人の後についてしまっているのだから、同罪である。
「……今更、なんや。いちゃもんつけんでくれる?」
「『今更』? おいおい、自分がやったことなかったことにすんのかよ」
「あれはアンタらが悪いやろ!! うちは当たり前のことをしただけや!!」
「今聞いた!? 『アンタらが悪いやろ』って!!」
「ウケるー!! 他人のせいにして、良い子ぶってるー!!」
アハハハハハ、と汚く笑う五人。
囲まれてしまった、ショートが良く似合う、楕円形な赤メガネをかけた女の子は、毅然とした態度でありつつも、徐々に身体が震えていた。
無理をしているんだ、とすぐに判った。