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- Re: 臆病な人たちの幸福論【杉原ルート更新!】 ( No.341 )
- 日時: 2013/03/25 20:01
- 名前: 火矢 八重 ◆USIWdhRmqk (ID: l6pfUsAS)
今井の弟、空君は、本当に身体が弱い子だった。ふとした発作でも命に関わるような、常に気を遣わねばならない状態だった。
入院と退院を繰り返し、学校に行く暇は殆どない。それでも、彼は学校に通いたくて、頑張って行こうとした。
ところが、どんどん、彼は学校に行くといわなくなった。けれど、誰も彼の変化に気づくことはない。
何故なら、今井家はその頃、家庭崩壊をしていたからだ。
今井は、弟ばかり構われるから、拗ねて母親の言葉を聞かなくなった。
父親は空君が病気でお金がかかるからと、新しい女の人を作って、家を出てしまった。
更に、拍車をかけるように、空君の病気が悪化していく。
おばさんは、お金を作るために、そして空君を見るために、ラーメン屋を開いた。朝から晩まで働いて、一生懸命お金を稼いだ。
忙しくて、今井は益々構われなくなった。中学校に入ると、今井はツッパリ(懐かしい名前だあ)グループに入り、非行に走った。
『また、学校の先生に呼び出されたわよ』
『……』
『今忙しいのに、なんでこんな困らせることするの!?』
『うっせーなババア!!』
毎日のように、テーブルを叩く音や、怒鳴り声が響く。
今井も母親も荒れてしまい、空君をちゃんと見る人は、居なくなってしまった。
そうして空君は、今井が中学校を卒業するかしないかで、息を引き取った。
今井が奇跡的に高校に入れた。
しかしその分物が多くなったため、弟の部屋に自分の荷物を置く為に、弟の部屋を整理することになった。
その時、一冊の日記を、見つけることになる。
——日記? あいつ、そんなことやってたんだ。
そう思いながら今井は、その日記を開いた。
その日記は、怒りと悲痛の言葉のみが、語られていた。
『もう嫌だ!! 僕が何をしたっていうんだ、何でこんな苦しみを何時まで持っていればいいんだ!!』
『学校でもいじめられるし、家では姉ちゃんと母さんが怒鳴ってる。誰も僕の目を見て話してくれない!!』
『なんでいじめられなきゃいけないの? そう聞いたら、『性格が悪いから』って。何で!? 性格悪いのはそっちじゃないか!!』
『病気で苦しんで、何で心も苦しまなくちゃならないんだよ。『お前遅刻するぐらいなら学校にくんな』って。僕だって、こんな身体じゃなきゃ、まともに行こうって思ったよ!!』
『ふざけんな! 『死ね』『殺す』って、僕は生きるか死ぬかの瀬戸際なのに。何でそんな言葉、軽々しくいえるんだ!?』
『先生にいっても、『貴方が協調性がないからでしょ』っていわれた。どうして!? 僕も、皆と一緒にあんな言葉を使わなくちゃいけないの!?』