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Re: 臆病な人たちの幸福論【『第三部の後日談』更新】 ( No.368 )
日時: 2013/04/26 21:31
名前: 火矢 八重 ◆USIWdhRmqk (ID: l6pfUsAS)
参照: 嬉しいんだけど皆杉原ちゃんの設定に突っ込んでくれない(泣




 しかし、珍妙なのは、答えだけではなかったりする。




『例題一 次のうち、組み合わせの正しいものは何か。ア〜エから選べ。



ア 樋口一葉—みだれ髪
イ 板垣退助—学問のすすめ
ウ 福沢諭吉—坊ちゃん
エ 島崎藤村—たけくらべ』





「……え、これ……」
「ちょ、っと、これ、は……」


 僕も彼女も、戸惑いを隠せない。何せ彼女に至っては、教科書を開いてまで確かめているのですから。
 とりあえず深呼吸を置いて、確かめる。


「みだれ髪は……与謝野晶子ですし。学問のすすめは間違いなく、福沢諭吉ですし。坊ちゃんは、あ、手元にあった。夏目漱石ってちゃんと書かれてますし。たけくらべは、樋口一葉です」
「……きっと、ウのところに、『学問のすすめ』って書きたかったんだろうね」
「……」
「……」
「……まあ、問題を作る人も、間違えるというわけで」
「うん」




 問題に答えが無かったり(というか、問題が間違っていたり)。






『例題二 ミミズは無セキツイ動物です。無セキツイ動物の名前を一つ答えなさい』


「……これ、答えいってるよね」
「……きっと、『他の』という言葉を抜かしてしまったんでしょうね」
「……どうする?」
「……まあ、意図は気付かない方向で。『ミミズ』って書いちゃいなさい」
「ええ!?」




 問題の中で、とっくに答えをいっていたり。
 ああ、でも流石に、大声で突っ込んだのは、これです。









『例題三 人は何で生きるの?』


「知るかよ!!!!!」



 二人同時に突っ込んだ。



「何この問題誰が作ったなんなんだよこの問題!! しかも『生きるの?』だし!!」
「重いよ!! こんな重いのちっちゃな解答欄で書き終えれるかこの問題!! しかも『生きるの?』だし!!」


 その後、『どうしてこの世からは戦争はなくならないの?』や、『どうして人は何時か死ぬのに死にたいと思うようになるの?』とか、真剣なんだろうけどどうしてもふざけてるとしか思えない問題が続き。



「……玲。この問題、燃やしましょう」
「そうだね。これあんまりにも役に立たない」



 この問題集は、処分の方向へ向かった。当たり前だった。


                    ◆


「……ねえ、武田君。そろそろお昼ごはんにしない?」


 英語の書き取りをしていた彼女が、もう耐え切れないという顔でいいました。


「さっきからそればっかりですが……確かに時間も時間ですね」


 時計を見ると、十二時十分。少しばかり早いですが、まあ問題もないと思うので。


「お昼にしましょうか」


 そういうと、玲は神業とも思える速さで文房具を鞄に入れ、ほぼ同時に弁当箱を机の上に置いた。


「行動早いですねそれぐらい速かったらもう少し書き取りの速さも磨いて欲しいんですけど」


 今までの勉強はそんなにもつまらなかったのかと思うと、凄くやるせなくて、思わず毒を吐く。
 すると、彼女はむすー、と頬を膨らませて、


「むっむー。そういう皮肉をいわれると、ご飯が美味しくなくなるからやめて」



 ピシャリ、とした言い方に、少し手が止まる。