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- Re: 臆病な人たちの幸福論【『第五部開幕です!』】 ( No.433 )
- 日時: 2013/07/24 16:48
- 名前: 火矢 八重 ◆USIWdhRmqk (ID: l6pfUsAS)
第一章 健全なる高校男子の昼食事情
「おー、何か俺ら、全然久しぶりって感じがしないなー」
「第三部の静雄ルートで出ていたのだよ」
盆休みが明けた某日。
ハハハハハー、と大きな青空の下で、むさくるしい男子高校生らが笑いながら弁当をつついていた。
「俺は一応出たけど……なんかすっごく影薄かったなあ……」
「上田に巻き込まれて乱闘していただけだしな……」
「そういう森永はキャラ崩壊していたしな!」
「そういう上田こそ初期と比べると随分崩壊しているのだよ」
「なー、三也沢はどうおも……」
「……どうしたのだよ、三也沢。泣いてるぞ」
「……やっと」
「……やっと? どうしたんだ? ボソボソで聴こえんぞー」
「やっと…………俺の出番が来たぁぁぁぁぁ……」
——ちなみに俺こと三也沢健治は、そこでガッツポーズをとってマジ泣きしていた。
ポタポタと、焼けたコンクリートの上に出来たシミが、現れては消えていく。
「あ——……そっか」
「本編じゃ三也沢、四ヶ月以上ぶりの登場なんだよな。第四部の最初らへんで出て以来、全然出てこなかったもんな」
「参照感謝の番外編の登場でも三ヶ月以上ぶりだもんな……」
「そうだよ……俺一応主人公のハズなのに、全ッッッッ然登場してなかったんだよッ……!!」
「不憫すぎるぜ主人公……」
「一番不憫なのは、何やかんやいって三也沢なのだよ……」
「可哀想に……」と呟きながら、普通に弁当を食っている面々。お前ら本当は可哀想だなんて思ってないだろ。
……というわけで、お久しぶりです。主人公の三也沢健治です。
お盆休みが明け、受験生である俺たちは学校で補習を受ける日々が続いている。
あの出来事(第三部参照)のお陰でダメナコも少し逞しくなり、それ以外は案外変わらずに過ごしていた。
そして、今は昼飯タイムなのである。といっても俺は、購買部で買ったパンなのだが。
「というか、そろそろメタネタ止めようぜ。毎回メタネタするなって突っ込むのは諦めたけど」
メタネタをやって、綺麗でしっかりとした文章が書けたことなんて、一度も無いのだ。……これもメタネタかもしれないが、これ以上メタネタばっかり続けていると本当に話が続かない。
クイ、と森永が下がっていたメガネをあげた。
「お前もメタネタやってただろう……といいたいところだが、よかろう。不憫な主人公の面を立てて」
「不憫な主人公の為に」
「不憫な主人公の為に!」
「うっせー不憫不憫いうなぁ!!」
絶対コイツラは面白がってる! 可哀想だなんて思ってねぇよこいつら!!
そりゃあ作者も「もうこの作品に主人公っていないよねー」って思っちゃうぐらいだし! ってかこれもメタネタだ!
「そういや不憫で思い出したんだけどさー」
「今度不憫って単語出したらこの弁当投げ捨てるぞ橘」
「ああ止めてそれだけは勘弁!!」
「……で、何を思い出したんだ?」
一呼吸ついて、苛立ちを抑えた俺は、改めて橘に聞いた。