コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: 臆病な人たちの幸福論【第五部前半終了】 ( No.503 )
日時: 2013/10/20 17:25
名前: 火矢 八重 ◆USIWdhRmqk (ID: MuUNITQw)



【第五部後半 予告編】








 醜いよだかは、最後は願い通り星になった。
 けれどワタシは、この物語の真意が判らない。ただの、不幸な話にしか聞こえない。それとも、これがよだかの幸せなのかな。
 判らない。ワタシには、良く判らない。
 もし、そうだとしたら。判るだろうか。













「やあ、こんにちは。——人殺し」






 何時か。


















「二十X年前、場所は京都……被害者は資産家の大八木一家…………これって、まさか」





「怪異とは、人が噂で魂を縛ったモノ。意思を持つ魂は、消されたくない一心で噂に従う」
「噂に従うことが——生きることそのものだから」


「じゃあやっぱり、千代ちゃんは……」


「……ちょっと、マズイかもしれぬ」



















「——京から、芦屋家の陰陽師が来てしまった」









「……ああ、全部忘れていたんだねぇ。ダメでしょぉ? 人殺しがこんなカタギと一緒に暮らしたら。……いや、人殺しじゃないな。——バケモノって呼ばなくちゃね」

「行かないでよ…………フウちゃんだけじゃないんだから」

「一緒に、文化祭行くって、約束したでしょう!? いかないって、まだ、どこにもいかないって!!」

「あたし、今から性格悪いこというね。……フウちゃんのところにいかないで。あたしだって、健治のこと!」


「それでも! そうまでしてでも、生きたかったんだ、お前は!! 例え人として道を外しても、誰かを犠牲にしても、それでもお前は、生きたかったんだよ!」



「——誰かと!!」




















 よだかの星は、倖せだと思う?
 ……多分。
 幸せだったよ。きっと。……ずっと、倖せだよ。





 こうやって、街を見下ろすと、判ることがある。
 本当に人は、ギュウギュウ詰めに暮らしていて、本当にみんなで暮らしている。
 だから、すぐに不機嫌な態度も伝わるし、ご機嫌な態度も伝わる。
 沢山の理不尽に囲まれて、沢山のやさしさに囲まれて。
 でも全部、もともとは一つなんだ。

 たった一つから、始まったんだ。




                 第五部後半、翌春スタート予定



「……千代っち?」



 全部、一つ。




 あの、子供のころの、宝箱に詰まったのは、なんだったかなあ。
 綺麗なものもあったけれど。本当に大事なモノばっかりだったよ。
 年をとっていくごとに、だんだんなくなっていった大切なもの。だけど、すぐ近くにありそうなんだ。


 この物語は。そんな、物語。