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Re: 臆病な幽霊少女【第三章 パート1更新!!】 ( No.74 )
日時: 2012/11/10 18:40
名前: 火矢 八重 ◆USIWdhRmqk (ID: FIlfPBYO)


                  ◆


「こんにちはー……って、いつもより早ッ、三也沢君」


 暫くしてやってきたのは、杉原だった。


「おー、杉原。最近お前も早いな」

「もう課題も学校の準備も済んだから、することなくて……ってか、三也沢君もでしょ」

「まあな」



 杉原も、フウの看病に付き合ってくれる一人だ。

 ただ巻き込まれただけなのに、良く根気良く付き合ってくれんな、といったら、「家に居り辛くて……」と返って来た。

 杉原の両親は、なんやかんやで離婚して以来、父親が元気をなくし、娘である杉原とは、顔すら合わせづらくなったらしい。

 ……かなり明るくいっていたが、俺もバカ母とは上手くいっていないので、何となく杉原の笑顔の奥に、辛いものがあるんだろうなあと思った。

 いや、別にバカ母と上手くやろうなんて思わないけどさ。

 というわけで、杉原も朝早くからしょっちゅう来る。




「いやっほー、雪です。また来ましたー」


 杉原はぎこちない笑顔で、フウに挨拶した。

 だが当然、フウは返事しない。



「……何だか、恥ずかしいね」

「いうな」


 俺だってひとり言いってるみたいで、恥ずかしいのだから。


「……さて」


 フウの傍に座っている俺の隣に、パイプ椅子を置いて、杉原が座った。


「今日もしますか」

「ああ。DSの準備は出来てるか?」

「勿論」


 杉原が、ライトグリーンのDSⅰを取り出した。

 俺は、青の3DSだ。


「充電は満タン?」

「昨日の夜からしてたから、バッチリだ。
 音消したか?」

「したよ。一応病院だからね、ここ」

「よっしゃ、じゃあマリカやろう、マリカ」

「おっけー。ってか、それしか持ってないんだよね、三也沢君」

「いうな」


 友だちゼロの俺は、そもそもDSを持とうとか思わなかったわ。

 買ったきっかけは、杉原に誘われたからである。


「楽しい雰囲気を出していたら、諷子さんも起きるんじゃない?」という杉原の案を、俺は飲み込んだのだ。

 今ならチョット思う。——お前、古事記読んだな? と。





「あー、爆弾落としやがったなお前—!!」

「フッフッフ、こちとらDS歴五年じゃい。しかも最近までDSライト使ってたんだぞー……なのに何DSⅰ買った途端3DSが出るのよワケガワカンナイヨ!! ……てあー!! イカスミのせいで前が見えないー!?」

「こっちだってやられっぱなしじゃねーぞ!」




 ……なんという、端から見れば不毛ないい争い。しかも音消してても、声が五月蝿いのような。