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Re: *愛迷華* (実話) ( No.102 )
日時: 2013/05/25 22:58
名前: 絵磨 ◆VRtMSlYWsU (ID: 6C3OJFg3)
参照: ぼよよよん

第五十二話『勇気を振り絞った結果、』


*加耶目線*(加耶モデルの人から聞いた再現を元にしています)


薄田加耶、高校一年生。
一人称は「かや」。
そんな普通の女子高生だけど、そんなかやにも好きな人だっている。


それは、同じクラスの小八克弥くん。
ある時、男子が小八くんの髪型をセットしていたときがあって——。
その小八くんのキマった姿が凄くかっこよくて——。


いつの間にか、好きになっていたんだ。


友達の水城依麻と好きな人が被っちゃったけれど、依麻は応援してくれた。
だから依麻には本当に申し訳ないけど、かやは頑張るって決めたんだ。


だから、今日。七月六日。
小八くんのメアドを聞くって決意したのだ。


「走れ、加耶!!」


依麻にそう背中を押され、私は必死に走った。
皆、応援してくれている。
それにちゃんと答えなきゃ。かやも頑張らなきゃ。


遠いけれど、追いつきそうな背中。
待って——……!!
かやは、今までにない位必死に頑張って走った。


「こ、ばちくん!」


やっと追いつけて、かやは小八くんに向かってそう叫んだ。
すると小八くんは、


「あ?」


小八くん独特のいつもの低い声で、そう不機嫌そうに呟いた。
間近で見る、小八くんの顔。
軽く眉間にしわを寄せていて。
髪の毛は茶髪で。
下に視線をずらせば、制服は乱れててシャツは出てるわバリバリ腰パンしてるわ——。


怖 い


「あ、あの、」


ひるみそうになりながらも、かやは頑張って声を振り絞った。
小八くんは、きょとんとしている。


「……っメアド、教えて!!」


やっと、振り絞れた勇気。
小八くんは一瞬目を見開いたが、すぐに


「あー……」


低音ボイスで、だるそうにかやの顔を見た。


や っ ぱ り 怖 い


そう思いながら怯えていると、小八くんはズボンのポケットに手を入れ出した。
そして、ポケットからチラリと見える黒い携帯——……。


ドキドキと心臓が高鳴った瞬間、


「おーい小八ー!! ……って、え」


同じクラスの戸沢君がやってきた。
え、え、えええええええええ?
なんだか途端に顔が熱くなった。


すると小八くんも目を見開き、出しかけていた携帯を慌ててポケットにしまいこんだ。
……って、ええええええええええええええええ。


「……文哉に聞いて」
「え、あ、……はい」


小八くんはそう呟き、背中を向ける。
かやは状況がよく理解できないまま、ただ茫然と固まっていた。


……これは、無事に聞けたのだろうか……?


とにかく、皆が待ってるから行かなきゃ!
達成感と恥ずかしさでなんだか泣きそうになりながら、かやは皆の元へと足を進めた。