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Re: *愛迷華* (実話) ( No.106 )
日時: 2013/05/27 18:35
名前: 絵磨 ◆VRtMSlYWsU (ID: 3JMHQnkb)
参照: ぼよよよん

第五十四話『恋のお話』


それぞれの恋愛事情があって、


それぞれの感情も、ある訳で。


**


加耶の決意の後、私達は教室へ戻る。
もうこの日の作業は終わっており、女子が数人残っているだけであった。


「あらー、終わってたか……」


真枝は小さく呟き、私達は頷く。
また作業をサボってしまった……!!
私達は軽い罪悪感に襲われながらも、残っている女子のメンバーを見る。


クラス一小さくて可愛い、矢川美紀ちゃんと——……。
頭がよくサバサバしている海澤なおみ、そして美紀ちゃんと同様に可愛い原崎陽子が居た。


「作業終わっちゃったよー?」


陽子が大きな瞳でそう言う。
私たちは苦笑いをしながら、「ごめん」と謝った。


「いいよいいよ! ……ていうか、せっかく女子が集まってるんだからさー! 暴露大会したいよね! というかしようよ!!」


陽子は無邪気な笑顔でそう言った。
私たちは顔を見合わせて考えるが、せっかくの誘いなのでそれに乗ることにした。


「……でも、何を暴露するの?」


なおみが陽子の顔を見ながらそう呟く。
陽子は口角を上げ、横目でなおみを見る。


「女子特有の恋バナとか?」
「おぉー、いいねぇー!!」


陽子の発言に一番最初に乗ったのは、美紀ちゃんだった。
それに加耶や麻里は乗る気になっていたが、私は少し固まる。


「じゃあ、恋バナしよっか!」


陽子の言葉で皆椅子を集め、座った。
恋バナ……なんか複雑だ。
そう思いながら隣に居た真枝を見ると、真枝の表情も少しだけ険しかった。


「麻里は谷山が彼氏だよね? いいなー、羨ましい。私も彼氏欲しい。イケメンじゃなきゃ嫌だけど」


陽子はそう呟くと、自身の好きなキャラクターの名前を連呼し始めた。
麻里、苦笑い。
同時に、なおみが呆れ顔で話を変えた。


「皆、好きな人居るの?」


『好きな人』
その単語に少しだけドキッとするが、平常心を保つ。
皆黙っているため、陽子が口を開いた。


「加耶とかいそうだよねー。いる?」
「……う、うん、一応……」
「やっぱり? 誰々?」


陽子が興味津々に加耶に接近する。
加耶は私の方を少しだけ見るが、私は『遠慮するな』と口パクで言う。
すると加耶はわかったのか、小さくうなずいて陽子に視線を移した。


「……同じクラスの人、だよ」


加耶がそう言うと、陽子と美紀ちゃんがくいついた。
そして、


「もしかして、小八とか!?」


陽子のこの言葉で、私達のグループは一瞬フリーズした。


「……え、っと……」
「え、まさかの当たりだったりする?」


陽子が目を丸くすると、加耶の顔は次第に赤くなっていった。


「小八のこと、好きなんだー……! なんか小八、モテるよね」
「うんうん、モテる!」


陽子と美紀ちゃんは顔を見合わせ、盛り上がり始めた。
加耶は顔が真っ赤。
私は『やっぱりモテますよね』と心の中で悟った。


「……なんか私達のクラスさぁ、モテる男子多くない?」
「あぁー、小八くんもそうだし、孝仁くんもそうだよね」


孝仁の名前が出てきた瞬間に、私の心臓は一気に飛び跳ねた。
そして孝仁のメールの内容が一瞬だけ頭をよぎる。


「そういえば依麻、前に小八にメアド聞かれてたよね?」
「……っえ、あ、」
「依麻は好きな人いないの?」
「い、いやぁ、特にいないかなー」


いきなり話を振ってこられたので驚きながらも、私はそう流した。
加耶は驚いたような顔で私を見るが、私は目を逸らす。


すると今度は、陽子が爆弾発言をした。


「……実はさ、私孝仁に告白されたことあるんだよねー。結構前だけど」
「え」


私は思わず声を漏らし、顔を上げた。
そして隣の真枝の顔を見ると——。


真枝は、唇を噛んで俯いていた。


「まぁ振ったけどね! 私イケメンにしか興味ないし」


陽子はそう言いながら笑うが、私達は苦笑い。
多分、私達グループの心境は『気まずい』と皆思っているだろう。


「……それに、今、美紀は……ね?」
「や、やだぁ陽子ー!」


陽子が横目で美紀を見ると、美紀は軽く顔を赤くさせて陽子の背中を叩いた。
それに疑問に思ったあゆは、口を開く。


「みっき、好きな人いるの?」
「う、うん……」


嫌な予感がするのは、きっと私だけじゃないだろう。
でもこの予感が外れてほしい……というか外れろ。


そう思っていたが——……、


「みっき、孝仁くんが好きなんだよね……」























——嫌な予感は、見事に命中してしまった。