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- Re: *愛迷華* (実話) 57話更新! ( No.113 )
- 日時: 2013/06/11 16:01
- 名前: 絵磨 ◆VRtMSlYWsU (ID: 7pjyJRwL)
- 参照: ぼよよよん
第五十九話『秘め事』
七月十日。
今日で、私のフリー歴が一ヶ月突破。
そして今日で、孝仁からの告白を保留して五日目。
短いようで長い、この間。
そろそろハッキリしなくちゃいけない——。
そう思っていた矢先の出来事だった。
「依麻、聞いて……」
加耶が、涙目でそう言ってきた。
私は嫌な予感がしながらも、加耶を見る。
加耶は順序良く、言葉を出していった。
「小八くんが美紀ちゃんに『俺の事恋愛対象で見れる?』ってメールしてるみたいで……」
「……え、」
「それで美紀ちゃん、『孝仁くんが好き』って小八くんに暴露したみたいで。そしたら小八くんは『孝仁は俺の親友だし、応援してるよ』って言ってくれたらしくて……」
加耶は、震える声で言葉を紡いでいく。
私はそれを黙って聞きながら、考えていた。
ハチの好きな人って、もしかして——。
あの可愛い子じゃなくて、美紀ちゃん?
「小八くん、美紀ちゃんにめっちゃ優しくしてくれるらしくて、美紀ちゃんが小八くん優しくていいなぁ……って」
そう考えれば、そうだ。
あのハチの隣にいた可愛い子は、最近教室に来ていないし、ハチと話してすらいない。
そして今、美紀ちゃんにそうやってメールしてるなら……。
「……で、美紀ちゃんは孝仁くんに告白したらしいんだよ」
加耶のその言葉で、私の思考回路は一旦ストップした。
孝仁に——……告白?
「……え、まじで? 返事は?」
「『ちょっと待って』って言われたんだって」
「え」
ち ょ っ と 待 っ て ?
おいおいおいおいおい。
ちょっと待ってって、何。
あんなに私に好意がありますよみたいなメールしておいて、矛盾してないか?
「意味わかんない……」
ハチと孝仁は、絶対に仕組んでる。
ハチは美紀ちゃんと付き合うつもりなんだ。
そして孝仁は美紀ちゃんの返事を保留して、私に振られたら付き合うつもりだろう。
——そんなの、本気で私の事が好きなの?
そもそも、あの告白は孝仁が全部言った言葉なの?
もしかしたら、ハチが全部——。
「……っどうしてほしいの、私に……」
なんだか悔しくて。悲しくて。
この前泣いたばかりなのに、また涙が出てきてしまう。
やっぱり、訳が分からない。
皆複雑な心境なのは、わかる。
だからこそ、私がハッキリしなきゃいけない訳だけど——。
二人の考えてることが理解不能すぎる。
ハチが好きな自分も、孝仁のかけてくれた言葉やメールが素直に嬉しかった自分も。
なんだか、馬鹿みたいじゃないか。
「……加耶、ごめん……」
「……え?」
「私も、加耶に隠し事してた」
私は涙を拭い、加耶の腕を引っ張った。
そしてそのまま、女子トイレへと向かう。
もう、はっきりさせなきゃ。
ちゃんと、真実を話さなきゃ——。
この事態を悪化させてるのも、二人の訳が分からないのも。
全部、私のせいだ。
私がわからないから、二人の考えてることもわからない。
加耶も真枝も美紀ちゃんも、傷付けてる。
だから私が、ハッキリさせる。