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コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: *愛迷華* (実話) 62話更新! ( No.122 )
- 日時: 2013/06/22 17:51
- 名前: 絵磨 ◆VRtMSlYWsU (ID: rWLc9jDy)
- 参照: 今日も君を後悔と共に思いながら
第六十三話『物語の終止符』
呼吸をするのも忘れそうになるくらい孝仁に見入ってしまったが、私はハッと我に返る。
なんだ、なんだよ一体!!
私は孝仁から視線を逸らし、俯いた。
ちょっと、見とれてしまっただけだ。
これはきっと、違う。
だって、私は——……。
……そう自分に言い聞かせ、よさこいの練習に集中した。
**
よさこい練習が終わり、もう一度作業が再開。
しかし、加耶が私の腕を引っ張り、作業をする手が止まった。
「……ん? どうしたの? 加耶」
「依麻、廊下に行っても大丈夫?」
加耶が真剣な表情で、そう呟いた。
私はいつもの話だ、と悟り、力強く頷いて廊下へ出た。
「……美紀ちゃん、孝仁くんに振られたんだって」
廊下に出て、第一声目の加耶の一言はそれだった。
「え……?」
私は目玉が飛び出そうな位に、目を見開く。
振られたって……?
「じゃあ……」
「うん……。これからが問題なの。小八くんは美紀ちゃんにアタックをし続けている。今後、美紀ちゃんがどう動くか——……」
加耶は険しい顔でそう呟き、俯いた。
……きっと、美紀ちゃんの出す答えは決まっていると思う。
それは加耶もわかっていて、今私に言っているのだろう。
「……今後がもう、見えてるようなもんだよね……」
私がそう言うと、加耶はやはり頷いた。
美紀ちゃんが今抱いてるハチへの印象からしたら、絶対ハチが強くアタックすれば……。
二人は、付き合う。
「……辛いね」
加耶がそこで、初めて『辛い』と言った。
私の胸が、一気に締め付けられる。
「——……だけど、覚悟は出来てる」
加耶は顔を上げ、そう言って笑った。
私も加耶の顔を見て、少しだけ笑みを浮かべる。
——私と加耶にとっては、信じたくない今後。
だけどもう、変えられはしない今後。
私達のこの複雑な関係も、もうすぐ終わりを告げようとしていた。
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