コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: *愛迷華* (実話) 68話更新! ( No.134 )
- 日時: 2013/07/07 16:52
- 名前: 絵磨 ◆VRtMSlYWsU (ID: 5vHdVbZ5)
- 参照: また1から戻っただけ、
第七十話『約束』
不安がどんどん大きくなる私。
そのまま孝仁とも連絡は取れないまま、何日か経った。
モヤモヤしているある日、由良の友達が自転車を盗まれたということで——。
夜に、皆で探すことになった。
その中には文哉もいて。
由良と私と文哉は、合流して探すことになった。
「……あー、まじで見つかるのかね」
「わかんないけど……」
欠伸をしながら歩く文哉と、その後をついていく由良と私。
そこで、由良が私の肩をつついてきた。
「……何、由良?」
「こういう場だし、依麻。文哉に相談してみたら?」
「え?」
「孝仁くんのこと!」
由良にそう言われ、私は一気に固まる。
相談……っていっても……。
男の子に相談なんてしたことないし、どうすればいいのか——。
そう思っていると、
「——ねぇ、文哉! 依麻が相談あるんだって」
由良が、文哉にそう言ってしまった。
「あ? 相談?」
「ひ、ひぃぃ!!!!」
振り返る文哉に対し、私は由良の背中の後ろに隠れた。
由良は軽く呆れながらも、文哉を見る。
「えっとね、依麻の代わりに簡単にいうと……。依麻が孝仁くんから『俺の事まだ好きなの?』ってメールきて、依麻が好きって答えた後に『私の事は好き?』って聞いたら『秘密』って答えたから、依麻が不安になってるという訳さ」
由良は手短にそう説明し、文哉は真顔になる。
そして地面に腰を下ろし、小さく溜息をついた。
「あー……。孝仁はやめといた方がいいぞ。あいつ、本当最近チャラいもん。今はあれだけど、今にあいつたらしになるよ」
「え」
文哉から出てきたその言葉に、私は思わず目を見開いた。
「運動神経もそこまでよくないしさ、頭も前はよかったけど最近は友達と遊んでるせいでだんだん成績も落ちてきてるし、顔もそこまでじゃない? 身長もないし。実際完璧じゃないし、最近本当チャラくない?」
文哉は更にまくしたてるように、どんどん言葉を並べていく。
私は思わず言葉に詰まってしまう。
「まぁ……。だ、だけど私、運動神経も頭のよさも身長も関係ないよ」
「じゃあ、聞くけど」
文哉はそこでもう一度立ち上がり、私に近づいてきた。
「水城は、孝仁のどこが好き?」
「え、」
「言ってみ」
孝仁の好きなところ——。
運動神経なんて求めてない。
頭のよさなんて求めてない。
身長なんて求めてない。
だけど、私の孝仁の好きなところ?
「——……ほら、言えないじゃん」
「で、でも、いきなりそんな事言われてもすぐに言えなくない?」
「本気で好きなら言えるだろ?」
本気で、好きなら言える。
……文哉のその言葉に対し、私は何も言えなかった。
「実際、あいつ水城を簡単に手に入れられて、勝手に満足してる可能性もあるよ。チャラいから」
「……孝仁から告白してきたのに?」
「その時はその時でそうやってしてきたかもだけどさ、あいつ今は友達優先みたいな感じだし、本当調子乗ってんだって。だから本当、このまま言ったらあいつはたらしになると思う」
友達優先——。
確かに、孝仁は友達を大切にする人だ。
だけど私は孝仁は孝仁の時間も大切にしてほしい訳で、そこまで気にしていなかったが——。
「あいつ部活やめるらしいし。友達と遊んでばっかりでバイトも行かないで部活休むって言ったら先輩に殴られたからやめるとかなんとか」
「え、やめるの?」
文哉の言葉に、私は更に目を丸くする。
……一ヶ月記念日にお泊まりした時に、孝仁に言われた言葉が頭の中をよぎる。
『俺が部活でキャプテンになったら、何かちょうだい』
『俺絶対キャプテンになれる。なるから』
そう、約束した言葉。
『……じゃあ、キャプテンになるまでも私と付き合っててくれるの?』
『当たり前じゃん、そんなの』
——依麻しか興味ないから。
その言葉は、ただの口だけだった?