コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: *愛迷華* (実話) 68話更新! ( No.137 )
- 日時: 2013/07/09 14:55
- 名前: 絵磨 ◆VRtMSlYWsU (ID: h7rqA5xU)
- 参照: また1から戻っただけ、
第七十一話『考え方』
「俺が言ってることが全部あってるって訳じゃないけど、あながち間違ってないとは思う。この中では俺が一番孝仁と付き合い長いし、あいつから色々相談聞いたりもするしさ」
文哉はそう言い、頭をかいた。
由良は私の顔を見て、小さく頷く。
「……確かに依麻、孝仁くんと学校で話してないもんね」
「うん」
孝仁とは、話さない約束をしたから。
だけどもう私達が付き合ってることは周りにバレている訳だし——。
そう思ってると、
「話してないんじゃなくて、話せないんでしょ?」
「……まぁ、うん」
文哉が私の気持ちを代弁するように、そう言ってきた。
私は小さく頷く。
「水城はあいつに利用されてるだけだよ。だから別れた方がいい」
「え、」
「このまま続けてても、あいつに上から目線されるだけだよ」
孝仁が、私を利用?
孝仁から上から目線——?
なんだか、急すぎる言葉に私の頭は混乱していた。
「あと、陽子の時の方があいつ積極的だった。自分からメールしたり、俺に色々相談して来たり。今の水城の時には俺に相談も何もしてこないもん」
……それは、知らなかった。
陽子の時はそんなに積極的で、文哉に相談してたのに——。
私の時には、何も相談していないなんて。
「別れた方がいいって、もう。水城から振れ」
「え、私から?」
「うん、このまま利用されてヤリ目になるってのでいいの?」
「それは嫌だけど……。でも……」
「でも?」
「私から振れないよ。振るんだったら、振られるのがいい」
好きなのに振るだなんて、そんな後悔する別れ方したくない。
それに孝仁を傷つけたくないし——。
傷付けるなら、傷つけられた方がマシだ。
「……なんだよそれ、水城が利用されたままで辛くなるだけだよ。好きな人作っちゃえ」
「え」
「だって水城、小八のこと好きって言ってたけどさ。小八が水城の事好きじゃなくなって、すぐに孝仁と付き合っただろ?」
「……すぐっていうか……、まぁ」
ハチの話題が出て、私は思わず口ごもってしまう。
確かにハチが好きだったのに、すぐ孝仁と付き合った。
それは確かにいけないことかもしれないけれど——。
「お前そんな風にすぐのめりこめれるんだからさ、大丈夫だろ。好きな人作ってからなら、振っても水城は辛くないだろ?」
それはそうだ。
私が好きな人作ってから振っても、少し心が痛いだけですぐ終わる。
最初は、孝仁のこと軽い気持ちだったかもしれない。
だけど今の私はそんな中途半端な気持ちで付き合ってるわけじゃないし、ちゃんと孝仁のことが好きだ。
「……やだ。好きな人なんてすぐに出来ないし、孝仁のこと振れない。どっちにしろ傷つくなら、振られた方が絶対いい」
「俺言ってること間違ってないはずだよ。水城は考え方が子供なんだよ」
考えが、子供。
文哉の言ってることは間違ってはいないが、
「嫌いなら嫌いって言ってほしいだけだよ、私は」
思わず、ムキになってしまう。
すると文哉も溜息をつき、少し強めの口調でこう言った。
「今も彼女の問いに対して秘密っていってる奴が、好きや嫌いかをハッキリ言うと思う? 本気で好きなら好きって言ってるだろ。だからそれがあいつの答えっちゃ答えになるんじゃないのか?」
……完璧なんて、求めてない。
ただ、孝仁に本気で私を好きになってほしい。
愛してほしい、だけなの。
だけど、
「私の考えが、子供なのかな……」
それは、間違っているのかもしれない。
私は思わず泣きそうになるのを堪え、文哉を見た。
「……最後に一つだけ言っとくよ。あいつはやめとけ」
文哉はそう言い、私の肩に手を置いた。
私は力強く、唇を噛む。
「じゃあ、自転車も見つからないしそろそろ帰るわ」
文哉はそう言い残し、私と由良を置いて帰ってしまった。