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- Re: *愛迷華* (実話) 82話更新! ( No.161 )
- 日時: 2013/08/20 22:24
- 名前: 絵磨 ◆VRtMSlYWsU (ID: tXtJgBFl)
- 参照: 足りない 切ない 鳴り止まない
第八十四話『過去の存在』
今月も、彼と過ごせる。
そう思って、いたのに。
**
今日から、十一月。
隣の席にいると、やっぱり孝仁は付き合ってた時の孝仁じゃなく感じる。
それは当たり前だけど、なんというか——。
なんか、違う。
私にはもう、関係のないことだけれども。
「——さっきの話って、なに?」
今日も相変わらず上の空で授業を受けている私。
その隣——孝仁の前の席の冷が振り返り、孝仁を見る。
「あぁ、あれね……」
孝仁は口を開き、冷と小声で何か話し始めた。
私は気にしないで、私の前の席の真枝に回す為の手紙を書く。
「——それは、竜真の悪いとこかもしれないけどさ」
冷はそう言い、小さく溜息をつく。
……ん? 村野の話?
そう思っていると、
「前の彼女のこと?」
冷が、そう言った。
前の彼女——……って?
「いつから話してない?」
思考回路がぐちゃぐちゃになっていると、冷は再び口を開いて孝仁を見た。
孝仁がどんな表情をしているのかはわからないけれど。
「大分前。——……月曜日から」
「あぁ……」
大分前? 月曜日から?
孝仁と別れて、話さなくなったのは月曜日から。
そして前の彼女……って……。
「——でもさ、それって彼女が悪くない?」
冷はそう言い、孝仁の机を軽く叩く。
……ん?
「俺の彼女だとしたら、俺だったら怒るな」
冷はそう言い、もう一度溜息をつく。
孝仁はそれに対し、無言で——。
そこで、二人の会話は途切れた。
……なんだろう、なんていうか——。
私の事を、言われてる気がする。
前の彼女。
月曜日から話さなくなった。
彼女が悪い。
三つとも、私に当てはまっている。
『——真枝、さっきの会話聞こえた?
ちらほらしか聞こえなかったけど』
気になった私は、真枝としている手紙にそう書いてみた。
すると、すぐに真枝は返事を渡してくれる。
『うん、ちらほら聞こえた。
あれ絶対依麻のことだと思うよ』
やっぱり、真枝もそう思うのか……。
自意識過剰かもしれないけど、それでも。
話の内容が、私に当てはまっているよね……やっぱり。
『や、やっぱり?』
『うん。前の彼女とかさ』
ちなみに、真枝は私と孝仁が別れたことを知っている。
私は小さく溜息をつき、ペンを走らせた。
『ですよね、孝仁の前の彼女っていったら……』
そこで、私のペンが止まる。
前の彼女。
元カノ。
……もう、過去の存在。
「……はぁ」
もう、孝仁の彼女なんかじゃない。
改めて、そう実感した。