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コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: *愛迷華* (実話) 87話更新! ( No.177 )
- 日時: 2013/08/25 18:56
- 名前: 絵磨 ◆VRtMSlYWsU (ID: e7NtKjBm)
- 参照: 足りない 切ない 鳴り止まない
第九十話『裏表チャンス』
自己嫌悪と言葉とは裏腹に、
意外にチャンスは、やってくるもので。
**
それは、本当に突然だった。
「今日の授業テーマわからないやついるかー?」
社会の授業中。
担当教科でもあり学年主任が、黒板に文字を書きながらそう言った。
授業テーマとは、毎回学年主任の言う言葉をメモしてノートに書くことだ。
それを聞いていないと減点されてしまうので、皆ちゃんと聞いているが——。
「わかりませーん」
隣に居る孝仁が、だらけた口調でそう言った。
……そう、ここまではよかった。
だけど次の学年主任の言葉で、私は固まることになる。
「なんだ里田。隣の水城から聞きなさい」
ち ょ っ と 待 っ て
教室中に沈黙が走り、私と孝仁の間にも気まずい空気が走る。
……ちょっと、この展開は予想していなかった。
やばい、どうする? どうする、水城依麻!!
そう一人で心の中で騒いでいると、
「……なんて書いた?」
孝仁が、身を乗り出してそう聞いてきた。
うわぁぁぁぁあぁぁぁああ!?
「い、市場に、おける政府の役割」
テンパって声が震えながらも、私はそう呟いた。
そんな私に対し、孝仁は軽く笑みを浮かべてお辞儀をする。
……絶対今、私の顔は真っ赤だ。
もうすっかり寒いのに、緊張のせいで体が熱い。
「……うぁぁ」
私は頬を抑え、必死にドキドキを抑えた。
久しぶりに感じる、会話。
ぎこちないけれど、ちゃんと会話出来た。
この調子で、もっと自然に話せるようにならなくちゃ——。
私の中で、また一つ目標が出来た。
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