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第九十二話『玉砕覚悟』




































from.孝仁
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好きな人できたか？わら
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……あれ、デジャヴ？
十一月二日にも聞かれた、この言葉。


from.依麻
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なんでそんなこときくの(笑)
孝仁は？(笑)
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ドキドキしながら、返信。
何回も同じことを聞かれたら、さすがに。
さすがに、期待しちゃうよ。


私のこと、少しでも気になってくれてるのかも——なんて。


from.孝仁
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依麻は？

教えろ
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怖いです孝仁くん。
これは、告白の流れ……なのか？
もう別れてから一か月経ってるし——。


私は、孝仁とメール出来ただけですごく嬉しい。
もう、それだけで充分なのに。
孝仁は、メールで私の名前を呼んでくれた。


別れてるのに、変わらない些細なこと。
これはもう思い返すことはない、と。


不思議とこの時に、私の中で何かが弾ける。
本当の玉砕覚悟が、出来た気がした。


今なら、言える。


from.依麻
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正直ね、まだ孝仁が好き

もっかいできるなら
一からやり直したい

すぐに信用してもらえないかもしれないけど、
直して欲しいとこ必ず直すから
もう一度チャンスがほしいな(´・ω・`)

よかったら付き合ってください
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三十分の間、文章をひたすら考えて考えて。
送信ボタンを押し終えた後、不思議と心が軽くなった気がした。


「……言ってしまった……」


チャイムが鳴り響くと同時に、私は誰にも聞こえない小さな声でそう呟く。
あとは、返事を待つだけ。


充分に、勇気を振り絞った。
望みは少なくても、もう覚悟はできてる。


私は携帯をポケットに入れ、返事が来るのを待った。