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第九十四話『代わりの人』


そう、待ち続けると決めたけれど——。


from.真枝
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今、陽子に聞いたんだけど…

孝仁くん、依麻と別れた瞬間に陽子に
『好きな人居るの？』とか
しつこくメールしてくるんだって＞＜
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真枝から来た、そのメール。
私はそのメールを見て、唖然とした。


確かに孝仁は、私より前に陽子の事が好きで——。
陽子は可愛いし、明るいし面白い。
そして孝仁は陽子に一度振られている、けれども。


だけど、孝仁は本気で陽子の事が好きだったと思うし、人を本気で好きになったら簡単に忘れられる訳がないと思う。
それは私も同じ、だし……。


だけれど、私と別れた瞬間なら——。
真枝の言ってることが本当ならば、孝仁は最初から私のことは眼中になんかなくて。
ただ、陽子を忘れるために付き合っただけなのかもしれない。


「……まじかぁ……」


そうだとしたら、やっぱり正直ショックだ。
孝仁の気持ちはわかる、わかるけれど——。


付き合ってた間、少しでも好きになってくれなかった……ってのは、辛い。


だけれども、それはまだわからないし——。
それに今、保留にされているということは、よくも悪くも一応『考えてくれている』ということにはなるよね。


知らなければよかった現実があるとしても
ちゃんと受け止めて、私は私なりに頑張る。
そう、後悔しないようにしなきゃ。


傷付けた分、私は傷付いてもいい。
頑張ればきっと、努力は報われる。


だから私はきちんと振られるまで、絶対諦めない。
グダグダだとしても、がむしゃらに進むのがきっと私らしい生き方。
今まで、そうやって恋愛をしてきたつもり……だから。


だから、こんな落ち込んでるのは私らしくない。
私は私なりに、馬鹿みたいにひたすら片想いしてればいいんだ。


このくらいじゃ、絶対にめげない。