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- Re: *愛迷華* (実話) ( No.21 )
- 日時: 2012/12/23 12:46
- 名前: 絵磨 ◆VRtMSlYWsU (ID: TW1Zh9zP)
- 参照: ずんちゃっちゃー
第七話『誕生日デート』
「……え、行けなくなった!?」
誠と二人で自転車で世良の家に向かっていたとき。
誠の携帯に電話がかかり、電話の主——……大北からダブルデートキャンセルのお知らせが入った。
「……まじかよ。参ったな」
誠は足を止め、携帯をしまった。
もうすぐ、世良の家だ。
大北がいないなら、ダブルデートにならない。
でも——、
「……こうなったら、保高でも呼ぶか……」
誠はどうしても、人が呼びたいようで。
とりあえず世良の家に向かい、検討をつけてから保高を呼ぶことになった。
保高に連絡すると、十分くらいで世良の家までやってきた。
結局四人でデパートに行くことになり、私達は駅前の方へと自転車を進めた。
**
デパートのゲームセンターでプリクラを撮り、ゲームをしたり……。
そんなことをしているうちに、時間はもう夕方を過ぎていた。
ほとんどデートじゃなくなってる気もするが、まぁ世良もいて楽しいのでいいとしよう。
だけど——……。
ほとんど、誠に放置されてる気がするのは、気のせい?
「……はぁ」
私は思わず、大きなため息をついた。
誠はゲームゲーム、ひたすらゲームだ。
あの様子じゃ、誕生日プレゼント買うお金も絶対ないだろうな……なんて。
もらうことが目当てじゃないけれど、でも、せっかくだからやっぱり欲しいなぁ……なんて。
欲張りな事を考えている自分がいた。
「なしたのよ」
「うわっ!?」
後ろから突然誠が現れて、私は思わず驚きの声を出した。
い、いつから後ろに……!?
「どした、依麻」
「な、なんもないよ! それより誠こそ——」
「はい」
言葉を遮られるようにして、誠は私の目の前に何かを出した。
そのまま突き付けるように渡し、戸惑いながらも私はそれを受け取った。
「……これって、」
「誕生日プレゼント」
「え、嘘!?」
誠からの意外な言葉に、私は思わず驚いてしまった。
それと同時にやっぱり嬉しさがこみ上げ、掌に収まる渡された袋を握りしめる。
「今開けていい?」
「いいよ」
誠に許可を取り、私は袋を慎重に開けた。
袋の中には、私が好きなキャラクターのキーホルダー。
「可愛い……! ありがとうね、誠」
「お、おう」
心からの笑顔を向け、お礼を言った。
誠も笑顔になり、少し照れたように目線を逸らす。
こういう、些細な仕草も好き。
些細な優しさも、好き。
次は私が誠を祝う番だね。
四月十五日、十六歳の誕生日。
泣いて笑った、幸せな日となりました。