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- Re: *愛迷華* (実話) ( No.24 )
- 日時: 2013/01/10 01:30
- 名前: 絵磨 ◆VRtMSlYWsU (ID: 5YaOdPeQ)
- 参照: ちゅっちゅっぱらりらー
第十話『遠距離恋愛』
どんなに離れていても、
あなたとなら乗り越えられる。
——そう、思ってたんだ。
**
なんだか、とても楽しい夢を見た気がした。
ふわふわとした、心地のいい——……。
体が軽くなった所で、ちょうど目が覚めた。
「……ん……? ……え、」
真っ暗な部屋の中、初めて自分が寝てたことに気付く。
いつのまに、私は寝てたんだ。
おぼつかない記憶をゆっくりと思い出しながら、時刻を確認するために携帯を開いた。
それで、一気に目が覚めた。
着信 7件
「……なにがあった」
私は携帯を茫然と見つめ、着信履歴を順番に見て言った。
誠、誠、誠、世良、由良、誠、誠——……。
誠からめっちゃ来てるじゃん!!
ど、どうしよう……。
そう思いながら慌てていると、携帯の着信音が鳴り響いた。
この音は——……!!
「も、もしもし!?」
誠に設定している、着信音だ。
≪もしもし? 依麻!?≫
慌てて電話に出ると、少し慌てた様な声で誠はそう言った。
「え、まこと、」
≪今どこにいるの?≫
「え……、家だよ?」
≪家? ……もしかして、寝てた?≫
「う、うん。寝てたぁ……。ごめんね」
寝起きの声がなるべくバレないようにそう話すと、電話越しから誠の溜息が聞こえた。
私は何が何だかよくわからないまま、溜息の理由を聞こうと口を開こうとした。
しかし、その行動は誠の言葉によって遮られた。
≪心配した……≫
「……え?」
≪依麻、なかなか電話に出ないからさ。補導されたーとか、変な奴に襲われたーとかかと思った……。色んな人に依麻どこ? って電話したからね。まじ泣きそうになったわ≫
誠のその言葉に、思わずキュンとした。
心配、してくれてたんだ……。
生まれてこの方、夜に遊んでても補導されたり変な奴に襲われた事なんかない。
まず、される訳がないし襲われる訳もない。
なのに——……。
≪……依麻が、無事でよかった≫
誠は、本気で心配してくれた。
それだけで、私の心は溶かされるように暖かくなるんだ。
「依麻に会いたい」
その誠の一言で、私は笑顔になれる。
なんて、単純なんだろう。
≪……なんかさ≫
「ん?」
≪周りのカップル見てるとさ、辛い≫
「わかるよ、それ」
≪遠距離がこんなに辛いとかね。遠距離やだ≫
遠距離……ねぇ。
誠は部活もあるし、なかなか会えないしなぁ……。
正直、私も遠距離がこんなにキツイとは思っていなかった。
≪もっとえまに好きになってほしいもん、俺≫
「もう十分好きだよ?」
≪もっとさ、誠〜ってきてほしい。ガンガンきて≫
「ガンガンスキーだよ」
≪うける≫
こんな冗談言えるのも、誠の前だけ。
私の冗談に笑ってくれるのも、誠だけ。
≪依麻、大好き≫
「久しぶりに聞いた」
≪なんだよそれ、普段から言ってないみたいじゃん≫
誠はそう言って、笑う。
でも、本当に誠の『大好き』は久しぶりなんだよ。
≪依麻、愛してるよ≫
そう言われると、照れるのを知ってる君。
本当に、ずるいよ。
そう思いながらも、ゆっくりと口を開いた。
——私も。
君とは、ずっと一緒に居れる気がしたんだ。