コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: *愛迷華* (実話) ( No.40 )
- 日時: 2013/05/05 13:47
- 名前: 絵磨 ◆VRtMSlYWsU (ID: xW7fLG6h)
- 参照: あひょひょのひょ
第十八話『つかの間の時間』
とりあえずまた後で電話来るはずだし、ゆっくり誠の家に向かおう。
うん、そうしよう。
——そう決めて、数十分後。
土砂降りの中誠の家の前に着いた。
結局電話来なかったんだけど……。
このまま人の家の前で立ち尽くしていても、何もならないよな。
私は意を決して、自分から誠に電話をかけてみた。
≪……あ、依麻?≫
何コール目かで、すぐに誠が出てきた。
私は携帯を握りしめ、誠の家の窓を見つめて口を開いた。
「今、誠の家の前なんだけど……。私、どうすればいい?」
≪あ、着いたの? 俺の家大丈夫だったから、一緒に飯食いにいこ。今ドア開けるわ≫
誠はそう言い、電話を切った。
その数秒後、誠の家のドアが開いた。
「久しぶり!」
「……う、うん」
「めっちゃびしょ濡れじゃん! ドライヤー貸すから、おいで」
「うん……」
誠に久しぶりに会って、嬉しいはず。
嬉しいはず……なのに。
なんだか、複雑な気持ちなのは——。
どうして、なんだろう。
**
ドライヤーを貸してもらった後、誠の家族と外食へ。
遠慮しながらもなんとか楽しめる事が出来て、私は次第に心のモヤモヤが消えていた。
「……ねぇ、依麻」
「ん?」
外食の帰り道、車の中で誠が手を握ってきた。
そして肩に寄り掛かるその仕草に思わずドキッとしながらも、誠を見つめる。
誠は軽く上目使いで、口を開いた。
「明日遊ぼ!」
「誠がいいなら、いいよ」
「やった! じゃあ、遊ぼ?」
「うん!」
久しぶりの誠は、やっぱりいい。
なんだかんだ、やっぱり誠の傍に居るのが落ち着く気がした。
「——あー、お腹いっぱい!」
車の中でも楽しみながら、なんとか誠の家に到着。
誠はお腹を抑えながら、自分の部屋へと駆け込んでいった。
私もゆっくりとお邪魔する。
「今日はゆっくりしてきな? なんなら俺の家泊まる?」
「誠の家がいいなら泊まって行きたーい」
「俺の家は大丈夫だと思うよ。一緒に寝よ?」
誠は、そう言いながら抱きしめてくれた。
ふわりといい匂いがして、思わず頬が緩む。
誠と一緒に居る時間が、好き。
何気ない優しさが好き。
のんびり出来るこの空間が、大好き。
私は、何を迷っていたんだろうか。
誠と布団にもぐり、改めて幸せを感じながら時間を忘れるように抱き合っていた。