コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: *愛迷華* (実話) ( No.68 )
- 日時: 2013/05/12 01:10
- 名前: 絵磨 ◆VRtMSlYWsU (ID: kzjN7yPk)
- 参照: 書き溜めてるけど先は長い……www
第三十三話『別れ』
「……送っちゃった……」
携帯を握りしめたまま、一気に力が抜ける。
ずっと自分からは言えないと思っていた、『別れよう』と言う言葉。
「返事がどうくるか、だね」
「うん……」
由良が横で見守っててくれるから、まだなんとか理性が保てている。
誠からの返事がくるまでの数分が、凄く長く感じた。
「……あ、きた……」
携帯が光り、誠のメールの着信音が鳴った。
私は由良に見守られながら、恐る恐る携帯を開いてメールを見た。
from.誠
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うん
わかった
依麻がそうしたいならそうすればいいよ
今までありがとね
さよなら
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誠からのメールの文章を見た瞬間、涙が出た。
これで、本当に——。
本当に、終わるんだ。
from.依麻
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最初から最後まで
自分勝手でごめんね。
私こそ今までありがとう。
我が儘いっぱい言ったり
迷惑いっぱいかけちゃったけど、
短い間だったけど、幸せだったよ。
こんな私に好きとか、愛してるとか、可愛いとか、
いっぱい色んな嬉しいこと
言ってくれてありがとうね。
本当に嬉しかった。
大好きだったよ。
本当にありがとう。
何も返せなくて本当にごめんね。
身勝手な女でごめんなさい。
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私は素早く文字を打ち、少しためらいながらも——。
きちんと送信ボタンを押した。
「依麻……」
「おふっ」
由良はティッシュを私の顔面に押し付けた。
視界が真っ白です、先輩。
「依麻は本当に、これでよかったの?」
由良はそう言いながら、ティッシュから手を離した。
私は頷いて、小さく笑う。
「これでいいの。誠にとっては一方的に感じるかもだけど」
「後悔してない?」
「してないよ。このまま曖昧なまま付き合ってるのもお互い嫌に決まってるもん。だから、これでいいの」
「……珍しくまともな事言うじゃん」
「どや」
由良の笑みに、私は涙でぐちゃぐちゃの顔面でドヤ顔をした。
由良がいてくれて、本当によかった。
由良が居てくれなかったら、笑えてなかった。絶対。
from.誠
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つまんない事だけで笑ってくれた
依麻に感謝です
こちらこそ今まで好きでいてくれて
ありがとう
いい人が見つかるといいね
依麻も、俺みたいなクソなんかより
お前のことをちゃんと愛してくれる
人みつけるんだぞ
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from.依麻
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誠にも、
いい人が見つかるといいね。
私よりいい女の子が絶対いるはずだよ。
ちゃんとその子のこと、愛してあげるんだよ?
泣かせちゃだめだよ?
きちんと守ってあげて、幸せにしてあげるんだよ。
こんな私だけど
これからは友達として、
よろしくお願いします。
本当にごめんね。
自分勝手でごめん。
傷付けてごめん。
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何度謝っても、しつこい位謝っても。
誠を傷つけてることには変わりないけど、今はそれしか出来ないから。
謝ることしか、出来ないから——。
from.誠
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俺も依麻と居れた時間が
嘘みたいだよ
おれ、依麻で最後にする
もう、辛い思いはしたくないからさ!
友達でも、頼ってくれよ
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『友達』——。
もう、今日からは友達。
恋人じゃない、曖昧でもない、ただの友達。
『わからないまま』だった答えが、やっと見つかる。
from.依麻
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頼るよ!
誠、ありがとう。
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from.誠
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俺こそありがとね
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そこで誠とのメールが、終わった。
『依麻で最後』
この言葉が嬉しかったけど、もう振りかえらない。
誠も私も、前に進むんだ。
『——依麻』
『依麻、好きだよ』
『愛してるよ』
——大好きだった、私を呼ぶ声。
皆で遊んだ思い出。
いつも皆で溜まっていた、あの公園。
初めてのキスは、公園の山の裏。
初めてのハグは、皆の待ち合わせ場所。
初めて手をつないだのは、遠出した夜の公園。
初めての二人乗りは、その帰り道。
途中でコンビニによってカップラーメンを食べた。
腕を組んで歩いた。
念願のデートもできた。
ずっとずっと夢だった、恋人が出来たらしたかったこと。
全部の初めてが誠だった。
誠と語った話、語った夢。
いっぱい笑って、いっぱい泣いて、いっぱい思い出をつくった。
244日の間の、大切な思い出。
私はいい彼女だった、とは言えないけれど。
幸せでした。
……大好き、でした。
2011年10月10日、私と誠が付き合った日。
そのちょうど8ヶ月前に全てが始まって、
ちょうど8ヶ月経った今、全てが終わった。