コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: *愛迷華* (実話) ( No.69 )
- 日時: 2013/05/12 01:15
- 名前: 絵磨 ◆VRtMSlYWsU (ID: kzjN7yPk)
- 参照: 書き溜めてるけど先は長い……www
第三十四話『優しさとやりとり』
誠と別れて数時間後。
由良の家から出て、私は自分の家へ帰ろうと自転車をのんびり漕いでいた。
頭の中は、誠との思い出が浮かんでは次々に消えて行った。
——これで、よかったんだ。
そう心の中で強く呟く。
しっかりと前を向いて、家の近くの曲がり角を曲がろうとしたとき——、
「……え」
携帯が、鳴った。
この着信音は——……。
「……世良? どうしたの?」
世良だった。
世良は電話越しに息を荒げ、私に向かってこう叫んだ。
≪なにがあったの!?≫
世良ももう、知ってるんだ——。
私は小さく息を吐いて、はっきりとした口調でこう呟いた。
「ごめん、別れた」
声は、震えなかった。
世良は少し言葉を失った後、すぐに口を開く。
≪誠からさっき電話きてね、依麻と別れたって。さっきまで泣いてたって。俺は別れたくなかったけど、っていってたよ?≫
「……うん」
≪誠、強がってたから『男なら強がらないで、素直にいいなよ!! とりあえず、陸に電話かけろ』って言ったんだ≫
世良の言葉に、止まっていた涙が徐々に溢れてきた。
自分でも、驚くくらいに。
私は止めようと、必死に目を擦った。
≪なにがあったの、依麻……≫
「……ごめん……」
≪……泣いてるの? 依麻≫
「……へへっ」
≪へへっじゃないよ≫
世良の心配そうな声。
私は声が震えるのを必死に抑え、口を開いた。
「前から別れ話、してたんだけど……ね。お互い傷付けあってたし、たくさん傷付けちゃったから……」
≪……うん≫
「私から、別れを告げたんだ」
言い終わり、私は小さく笑った。
世良はひたすら黙っている。
しかし、
≪——依麻、今から会える?≫
「え、私は大丈夫だよ」
≪じゃあ依麻の近くの公園で待ち合わせね。今から急いでいくから! 待ってて≫
「え、ちょ、世——……≫
勢いよく電話が切れ、私は携帯を見つめる。
世良の優しさが心に沁みて、また涙が出そうになったが——……。
「……よし」
涙を拭いて。
私は再び自転車を進め、公園へと向かった。
**
先に公園に着き、自転車を止める。
遊具に座り、私は携帯を開く。
時計は、もう二十一時。
「……世良……」
世良、大丈夫かな。
そう思いながらメールボックスを見ると、メールが溜まっていた。
一つずつ消化していくと——……。
「……え、」
ハチから、メールが来ていた。
from.ハチ
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よ、
里田由良が水城が彼氏と別れたって言ってたけど大丈夫?
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「……ハチ……」
思わず、携帯を握る手に力が入る。
由良、ハチに言ってくれてたんだ——。
from.依麻
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別れたよm(_ _)m
大丈夫\(^^)/(笑)
なんか心配かけてごめんね(´;_;)
ありがとうね(´;_;)
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from.ハチ
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うん、そっかなら良かった!
じゃあこっちからメールして悪いんだけど、
文哉の家泊まってからあんまり寝てないから寝るね
おやすみ
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from.依麻
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わかったよ\(^^)/
お疲れ様です(笑)
おやすみ〜(*´`*)
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ハチとの短いやり取りが終わり、溜息をつく。
同時に、自転車のブレーキ音が聞こえた。