コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: *愛迷華* (実話) ( No.82 )
日時: 2013/05/20 17:42
名前: 絵磨 ◆VRtMSlYWsU (ID: HK6OImIM)
参照: ここから展開が変わっていく、かな?

第四十話『遅咲きの気持ち』


「〜だった」っていう過去形が一番やだ。


今更、そんなのいらない。


**


麻里のニュースを聞いてから数日が経った。
あのニュース以来、めっきりとハチと接点はなくなってしまった。
メールもしなくなったし、学校でも何もない。
やっぱり、本当に麻里のニュース通りになってしまったのだろうか……。


そんなモヤモヤの中日常が過ぎていき、いつの間にか七月に入ってしまった。
時間が経つごとに、不安はどんどん大きくなっていって。
ハチの口から女の子の名前が出てくることが多くなって。


そして決定打となる、ハチの言葉。


『人を使って俺のこと聞いてくる人、好きじゃない』


これを麻里から聞き、私は固まってしまった。
これって、私の事……でしょうか。


どんどんハチとの関係も曖昧になっていくし、距離が遠ざかってる気がする。
もう、遅い気持ちだけど。
でもやっぱり好きなものは好きで——……。


とても暑いよく晴れたその日、私はやっと自分から動き出した。


「——依麻、ついにいくの?」
「……うん、やってみせる」


私は携帯を握りしめ、横に居る加耶に向かってそう呟いた。
只今、加耶と遊んでいる訳ですが——。


この非情におかしいタイミングで、告白をしようと考えていたのだ。
……しかも、メールで。


from.依麻
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
知ってるかもしれないし
今更かもしれないけど
小八が好きてす。
よかったら付き合ってください
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−


振られるのは承知の上だ。
だけど、振られてもいいから伝えておきたかった。
今更遅い、この気持ちを。


from.ハチ
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
ごめん、
俺好きな子いるから気持ちだけ受け取っておくわ
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−


違う風に言えば、私はこのモヤモヤから脱出したかったのかもしれない。
だからハチからこの返事が来た時、思ったよりも衝撃が少なかったし——……。


from.依麻
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
ごめんね、ありがとう。

頑張ってね!
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−


逃げないでハチに向き合えたのだと思う。


「……やっぱり予想通り振られちゃいましたー!」
「いやぁ、依麻ぁ……」
「意外にスッキリしてるし、いいんだ!」


私は加耶に笑顔を浮かべる。
そしてもう一度携帯の画面を見ると、ハチから『ありがとう』とメールが来ていた。


——そして、その下の文字を見て唖然とした。


「……なにこれ」
「え、どうしたの依麻」
「ちょ、見て、これ」


私は加耶に向かって携帯画面を向ける。
加耶はその文章を目で追い、


「『そういえば孝仁が水城のこと気になってたよ』……って、えええええええ!?」


口に出した後、叫んだ。
そして私と加耶は、顔を見合わせる。


「孝仁って、里見孝仁? 同じクラスの?」


里見孝仁——。
同じクラスで、ハチと一番仲のいい男子。
動物のカワウソに似ていて、可愛らしい男子だ。
今までハチと仲いいんだな、くらいにしか思っていなかったが……。


from.依麻
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
冗談はよすんだ、小八よ
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

from.ハチ
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
まじだって!

孝仁と付き合ってみたら?
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

from.依麻
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
おいおいおい、ちょいまて(笑)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

from.ハチ
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
とりあえず、気軽にメールしてみな
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

from.依麻
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
メールっていったってなんてすればいいのさ(笑)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−


そこで、ハチからの返信は途切れた。
……逃げられたか……。


「……まじかよ」
「孝仁君が依麻のことを……? どうするの、依麻」


本気なのか冗談なのかはわからないけれど。
振られた相手からすぐに違う相手を進められるとは——……。
さすがに、さすがに水城依麻傷つきますよ!!


「……とりあえず、本当かどうかもわからないから……。スルーしとくよ」
「そうだね、それが一番かもね」


この日はそう勝手にとらえ、私は加耶と色んなところへ行き楽しむことにした。





















まさか、これが後の大きな出来事に繋がるとは知らずに——……。