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- Re: *愛迷華* (実話) ( No.9 )
- 日時: 2012/10/20 00:51
- 名前: 絵磨 ◆VRtMSlYWsU (ID: MT1OWC7F)
第一話『新たなStart』
四月九日。
今日から、私は高校生になります。
「華の女子高生フーッ!!」
いつもより少し高いテンションで、おはようございます。
おなじみの、水城依麻です。
約二年ぶりに着るブレザーに袖を通し、鏡の前で短い髪を二つに縛る。
ネクタイがきっちり締まっているのを確認し、カバンを持って家を飛び出した。
誰と、同じクラスになれるのだろう。
どんなクラスになるんだろう。
高校生活が楽しく過ごせるといいなぁ……。
私はそう祈り、楽しみだけの感情で学校へと向かった。
**
「……嘘だろ……」
新一年生、つまり私と同い年が集まる玄関。
そこに貼ってあるクラスの張り紙を見て、私は呆然と立ち尽くした。
全 然 知 り 合 い が い な い
同じ中学出身で同じクラスなのは——。
村野竜真、武田亮人、零しかいなかった。
私も含めて、四人——。
ていうか、女子私だけ?
「依麻ーっ!!」
明るい声が響き、私は振り向いた。
それと同時に、背中に軽い衝撃。
世良が笑みを浮かべ、私に抱き着いていた。
「世良〜! 何組?」
「二組! 依麻は?」
「私は四組……。由良も二組じゃん……。あぁ、なんで女子……」
私はぶつぶつとそう言いながら、もう一度クラスの張り紙を見た。
やっぱり、何度確認しても知ってる名前は男子三人組しかいない。
なんてことだ!!
「依麻と離れちゃったね……。でも、途中まで一緒に行こっ」
世良はそういい、私の腕を引っ張った。
あぁ、世良の制服姿可愛い……。
知らない人まみれのクラスで、私はやっていけるのか。
軽い不安とこの先どうなるかという思いを抱えながら、一番上の階——。
四階へと向かった。
**
教室に入ると、知らない人まみれ。
なんか、中学校の入学式を思い出す。
あの時は錬太郎とか、森野とか、城沢が居たから馴染むことが出来たけど——。
男子三人組と話したことないし——……。
私、まじでどうなるんだろう。
そう思いながら一人で行動し、なんとか入学式を終えることが出来た。
そこで教室に戻り、SHR。
担任——宮野強という先生が手短に連絡事項を話していった。
そして、
「えー……。放課後、国瓦と水城依麻。職員室に来てほしいので、教室に残るように」
早 速 呼 び 出 し で す か
ええええええええ。
私、何か悪いことした……!?
「——では、また明日から元気に学校に来るように! さようなら」
先生がそう言い、クラスメートたちは次々と去って行った。
私も去りたいけれど、教室に残らなきゃだもんなぁ……。
「……残っているのは、国瓦と水城だよな?」
先生にそう言われ、私は顔を上げた。
そういえば、国瓦っていう男子はどんな人なんだろう。
呼び出されたのは私とその男子の二人だから——。
教室には、私と国瓦しかいないはずだ。
教室を軽く見渡し、自分の他に残っている男子の姿を視界に入れた。
廊下の喧騒が消えると同時に、私は軽く目を見開いた。
私の視界に映った男子は——……。
髪の毛が、見事なまでに綺麗な茶髪。
鋭い目つき。
高校生にしては、少し大人びた顔。
い か に も 不 良
教室に沈黙が流れ、そこで国瓦が私の事を横目で見てきた。
目つき鋭すぎる……っ!!
そう思った瞬間、
「りょーうっ!」
廊下から、可愛らしい声の女子が顔を出した。
ショートカットで、スリムな子。
私と一瞬目が合うが、すぐに国瓦を見て微笑んだ。
「何、居残り〜?」
「……呼び出し」
国瓦とは、女子に向かってそれだけを呟いた。
その女子は笑みを浮かべ「まじか。頑張れっ」と言い去って行った。
「……水城と国瓦、準備はいいか?」
先生に問いかけられ、私達は初めてちゃんと顔を見合す。
そして再び先生の方を見て、頷いた。
「じゃあ、職員室を案内するので着いてきて」
先生がそういい、その後に続いて国瓦が動き出した。
私も鞄を持ち、慌てて後を追う。
「……」
沈黙。
廊下に、先生と国瓦と私。
国瓦の身長、高い……。
そんなこと思っていると、すぐに職員室に着いた。
「国瓦は髪型指導ね。職員室入って」
担任がそう言い、国瓦が職員室へと入って行った。
国瓦が髪型指導ってことは、私も髪型指導……!?
私あんな茶髪じゃないし、今日も二つ結びして——……。
そう思いながら、私もしぶしぶ入ろうとした。
しかし、
「水城は違う。玄関行ってお母さん呼んできてくれ」
……え。
思考が止まり、国瓦も振り返る。
目が合った国瓦の顔は、少しだけ驚いてるように見えた。
私は視線を逸らして、とりあえず頷いた。
お母さんに話があるなら、まぁおそらく家庭事情の事だと思うけど……。
私はそう思いながら、携帯を開きながら玄関へと向かった。