コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- だいごわ ( No.30 )
- 日時: 2012/11/24 23:21
- 名前: とろわ ◆DEbEYLffgo (ID: RADHLI//)
- 参照: マリアは称号【試験官】を手に入れた!
「さてと、改めて自己紹介でもしようか。俺は——まあ、先程名乗ったが、【マリア=ゲノワール】。【プラチナランク】のビーストテイマーだ」
「ぷらちならんく……。確か、上から三つ目のランクですよね!」
「その通り。まあ、改めて説明するほどの事じゃあないが一応。ビーストテイマーにはランクがあって、【ブロンズ】【カッパー】【シルバー】【ゴールド】【プラチナ】【ダイヤモンド】そして【マスター】の計七つある。で、俺はプラチナランク。俺の年齢は19なんだが、この年でゴールド以上はまあ、結構珍しいだろうな」
「すごいですねー!」
「凄いどころじゃありませんわ。プラチナランクの方に視てもらえるだなんて感激です」
わたしたちがそう言うと、マリアさんはてれたように笑って頭をかきました。
「あはは……。困ったな、褒められるのは慣れてないんだ」
マリアさんはそう言うと、隣にいた馬型のびーすとさんをよしよしとなでました。
「で、こいつは【オシュヒキ】。外見は綺麗なもんだが、実際は人を水に引きずり込んで食べ尽くす恐ろしいビーストだ。俺以外の人間が乗ったら殺されるから気を付けろよ」
「ひえええええええええ!?」
わたしはハンシャテキに数歩後ずさりしました。いや、そんな風には見えないんですよ、本当に。
でも、よく見てみると、おしゅひきさんのたてがみにかいそうがからみついていたり、毛はうっすらとした水色だったり、ひとみはすいこまれるような青色だったりと、ふつうの馬型びーすとさんとはどこか違っていました。
「確か、オシュヒキはSランクのビーストでしたわよね」
ライバルさんの言葉に、マリアはさんは目を丸くしました。
「おお、よく知ってるな。その通りだ」
「……らんく?」
わたしは首をかしげると、マリアさんは説明してくださいました。
「じゃあ説明しようか。——ビーストにはランクがある。それは強さや数などを基準につけられていて、D、C、B、A、S、SS、SSSの七つに分けられている。Dランクは人にはあまり害がないビーストのことで、主に家畜などがこれにあたるな。Cからは戦闘向きのビーストになるが、俺達人間が住む場所の近くに生息するようなビーストは低ランクのものだな。ランクが上がると珍しさもあがる。特にSS、SSSランクは一体しかいないと言われるレア物だ。珍しいだけでなく強さも知能も半端じゃないから、そうそう仲間にできるもんじゃあないがね」
わたしはへぇー、と心の中でつぶやいて、すぐさまメモちょうにメモします。
「で、Sランクのビーストは世界に数体しかいない貴重なもんだ。一番大事な、俺の相棒だ」
そう言うと、おしゅひきはうれしそうに鳴き声をあげました。
『ああ、私もそう思っているよ、相棒』
その声をきいて、わたしもうれしくなりました。
「さて、二人の名前を聞こう。——まず、君から」
マリアさんはライバルさんにそう言うと、ライバルさんは目を細めました。
「……私は【シャルロッテ・クロワ】です。北国【ブラン】から来ましたわ」
ライバルさん——シャルロッテさんはぶっきらぼうに言います。
「……で、こちらが私のパートナーの【アイスファング ウルフ】。名前は【エトワール】ですわ」
名前の通り、氷のように冷たくするどいきばを持つびーすとさん——エトワールは、リネアとにらみあいをしていました。
「その、先程は失礼しましたわ。……でも、私は手加減するつもりはありませんから、そのつもりで」
シャルロッテさんはわたしの目をじっと見て、そう言いました。
わたしは、その目を見て、シャルロッテさんの勝利へのシューネンをまざまざと感じました。
「……以上でいいかな。じゃあ、君も」
そう言って、マリアさんはわたしに自己紹介をするよううながしました。
しかいがぶわーっと真っ白になって、一気にドキドキが速まったような気がしましたが、ぐっとこぶしをにぎりしめて、口をぱくぱくと動かします。
「わ、わたし、は、【コメット・プリエール】です。で、こちらがわたしのパートナーの【ぶるーあいず ほーく】のリネアです。今日は、一日、よろしくお願いいたしますっ!」
わたしは勢いよく頭を下げていうと、マリアさんがくすくすとわらいました。
「なんだか、二人とも個性豊かで面白いな。——まあ、俺からも宜しく頼む」
マリアさんのえみを見て、少し落ち着きをとりもどしました。
「では、今回のギルド【サリエル】のビーストテイマー採用試験の説明を始める。今回の試験のテーマなんだが……」
テーマ、という言葉に首をかしげつつ、マリアさんの話を聞いていると、マリアさんはわたしとシャルロッテさんの顔を見て、不安そうな表情になりました。
「——まあ、簡単にいうと【協力】だ」
「…………あの、意味がわからないのですが」
「そりゃ俺が言いたいぐらいだよ、なんで協力なんだよ馬鹿じゃないのかと問い詰めたいぐらいなんだが協力だ」
マリアさんは頭をかかえてそう言うと、シャルロッテさんはわたしをちらりと見て首を横にふりました。
「どうして、こんな子と、協力なんか、」
「ボス……っと、うちのギルドのリーダー曰く、「争ってばっかじゃ芸がないだろう」……だとさ。まあ、別にずっと協力しろっていう訳じゃあないがね。で、ここから先は具体的な説明をするぞ」
わたしもシャルロッテさんも、マリアさんの言葉にじっと耳をかたむけます。
「今回の目的は、この森の奥地にある、【オオリンゴの実】を手に入れることだ。テーマが【協力】なので、基本的には二人で協力して奥地まで進んでもらう。俺は着いていくが、万が一の時以外は手を貸さないので自分達で考えて行動するように。でも、その実は稀少価値で、一つの木に一個しか実らないので、一人しか手に入れられないことになる」
「ということは……」
わたしは胸に手をあてました。
「どちらかが脱落する、ということになるな。これはどちらかが譲るのもよし、早い者勝ちで取るのもよし、バトルで決めるのもよしと、特にルールは決めない」
そう言った後、マリアさんはわたしたちの顔色をうかがいました。
「……ちなみに、制限時間は二時間。時間が過ぎたら二人とも失格。で、そのお連れのビーストなんだが」
マリアさんは少し気の毒そうな表情になりました。
「そいつらと試験を受けることは禁止とする」
「えぇっ!?」「なッ!? ……じ、じゃあ、どうするんですの?」
あわてふためくわたしたち。だって、それじゃあ……。
「でも、ビーストが使えないんじゃビーストテイマーの試験が成り立たないからな。で、これを使う」
そう言うと、マリアさんはカバンから小さな青の玉を取り出しました。
「これって……」
「これは【フレール】。主に初心者のビーストテイマーが、ビーストと契約する際に使用するもんだ。試験用だからサイズは小さいが、正真正銘の本物だ」
ふれーる……。確か、一度エルにぃが教えてくれました。
ふれーるは、びーすとていまーとびーすとさんのキズナを結ぶナカダチをしてくれるモノです。ぱーとなーびーすととよばれる、ずっといっしょに行動できるびーすとさんには使う必要性はありませんが、そのダンジョンやフィールドでしかなかまにできないびーすとさんにはとても重要なものになります。
ごーるどらんく以上のびーすとていまーさんには必要がなくなるそうですが、それ以下のびーすとていまーさんにとっては、ふれーるは一番のヒツジュヒンです。
ぱーとなーびーすとは、ごーるどらんく以下は一体しかケーヤクできませんが、その場限りのびーすとさんの場合、三体から五体ぐらいまでケーヤクできるので、冒険には欠かせないものなのだそうです。
「まあ、使い方の説明をするよりも、見た方が分かると思うから、渡す前に俺が手本を見せるな。ここら辺にはあまりいないから、少し先に進もう」
マリアさんの言葉にコクリとうなずいて、わたしは後を追いました。