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Re: 【準・恋愛小説】ラムダ君と有意義な生活 ( No.8 )
日時: 2012/11/10 23:12
名前: 粉雪百合 (ID: gJM7cnIU)

三話
 『ラムダ君とシータ嬢の漫画』



 私は今日、市立図書館に来ています

λ「すっげ!ここ、漫画までおいてある!」

γ「うはぁ!やっばー!!めっずらすぃーの!!!」

 ・・・・・・・・・何故か3人で。


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 事の始まりは、昨日の放課後のことでした

λ「なぁ、シータ嬢。明日ヒマ?」

 窓の外を見ながら小声で尋ねる彼に、私は箒に視線を落としたまま小声で返す

θ「ヒマじゃないよ。漫画描かなきゃ。・・・で、なんで小声?」

λ「周りの視線気にしてるみたいだから。今日は敬語で喋んねぇの?」

θ「これだけ騒がしかったら誰も気づかないよ。それにラムダ君、友達っていうから・・・敬語じゃないほうがいいんじゃないの?」

 まぁ、そうだけど。とラムダ君は苦笑で返してきた
 監督の教師がいないことを視線だけ巡らせて確認すると、彼はポケットから携帯を取り出す

λ「そんじゃ、明日もう一個の約束聞いてくんない?」

θ「・・・何か約束したっけ?」

λ「漫画描くとこ見せてってやつ」

 あぁ、なんかそんなことほざいてたな。と私はあいまいな記憶からそのときの事を引っ張り出す

θ「ってか、あの時私何もオッケーしてないけど」

λ「ぇえ!?友達の件もNG!?」

θ「それはいいけど・・・ってか声落として。そこは最初から最後まで一貫しようよ」

 はっ、とラムダ君は携帯を持った手で口を押さえる
 ちり、とストラップの鈴が音を立て、微妙に口をふさげていないことに気づくラムダ君
 ・・・馬鹿なのか?

γ「うぉぉおい!ちびラムダぁ!!カラオケ行かねぇ!?」

λ「ちびじゃねぇ!!ぜってぇ行かねぇよ!!!!」

 何でだよ豆ラムダ。とガンマ君は妙にしつこくラムダ君の身長をいじる
 お前も大して変わんねぇだろボケ。とラムダ君は表情で答える
 目力の強いラムダ君に睨まれると、流石にちょっとビビる

γ「何だよ、付き合い悪いなぁ・・・。どっか行く予定でもあんのか?まさか・・・デート!?」

 ぶっ、思わず吹き出す
 え、さっきのお誘いってそういう意味だったの!?
 違うよね!?ラムダ君!?!?

λ「おー、そうそうデートデート。」

 マジかよ。
 やる気の無い声に、ガンマ君は大きく声を上げて笑った

γ「嘘付けぇ!お前にそんなイベント発生するわけねぇし!!」

 ビキィ!!とラムダ君のこめかみに青筋が浮き出る
 完全に不良同等の眼光で相方を睨みつけた

λ「嘘じゃねぇよ!!これから図書館デートなんだよ!!いや、ぶっちゃけデートじゃないかもしんねぇけど・・・」

θ「・・・図書館?」

 つい、聞き返してしまった

λ「あ?あぁ、そこなら誰にも邪魔されずに描けるだろ」


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 そして今に至る。

 確かに、辞書や資料が豊富にあるここなら、確かに創作活動によりリアルな血肉を持たせられる
 だが、私の漫画は決して進んだと言えるほど描けていなかった

θ「ラムダ君、ガンマ君・・・ここ、図書館ですよ?もう少し、静かにしてくださいよ・・・」

 大丈夫だ、問題無い!という返事が遠くから返ってくる
 ・・・不安しか残らない。


 結局、集中など一切出来ないまま、とうとう図書館から追い出されてしまった
 むっすー、と2人の表情は入ったときとは裏腹に、不機嫌な様が丸出しであった

θ「全く・・・馬の耳に念仏なんですから・・・」

γ「さーせん」

 素直に謝るガンマ君の横で、ラムダ君はいつまでも不機嫌そうだ
 また、あの一睨みが来るんじゃないかとひやひやしながら声を掛けてみる

θ「ラムダ君——」

λ「何で、」

 私の声にかぶせるようにラムダ君は切り出した

λ「何で、俺にはタメ語きいてくれるのに頑真には敬語なんだ?」

 私はふと、ガンマ君を仰ぎ見た
 借りたばかりの本に顔をうずめ、黙々と知識を積み上げている
 こちらの会話など、全く気づいてもいないだろう

θ「だって、私が約束したのは、ラムダ君だけですから」

 茶化すように言ったその言葉に、ラムダ君は少し機嫌を直したようだった