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Re: 泣き虫ヴィーナス!−兄弟喧嘩は他所でやれ!!−キャラ募集中! ( No.22 )
日時: 2013/01/19 23:12
名前: 粉雪百合 (ID: wAE.Fy2c)

7話『訪問!』



 ウチには神様が7人住んでいます。

充「だから喜んでくれないかな?」

大「厄介事の元凶でもか?」

 翌日、朝の会話はこうして始まった

 大体、男子寮の一部屋に8人もどうやって生活するんだ
 最初はそう思ったが、ここにいるのは人外生物。(そもそも生物なのかも怪しいが。)
 なんか勝手に部屋の面積を広げられ、見た目は変わらないのにスペースが無駄にある変な空間が出来上がってしまった
 なんでも実際の大きさは変わってないから、外には迷惑がかかっていないそうな。さすが神様

大「っていうか神様が7人いるからっていいことあるのか?七福神みたいに福を運んでくるならまだしも・・・お互いに喧嘩をするような奴ら、危ないったらねーよ」

 はぁ、と俺はパーカーに腕を通しながら毒づく
 対し、昨日コーヒーを被り、結局シミの取れなかったローマ風の服を着たままの充は、手で寝癖を直しながら応える

充「いいじゃん。この試合、見てるのは君だけなんだし。他の人たちは記憶消しちゃうしね」

大「おかげで俺だけ神様信頼度が絶賛急降下中なんだけど」

充「大丈夫。他の神様もこんな感じで大した事ないから」

 ぜんっぜん大丈夫じゃねぇ・・・と、口の中で呟きながら身支度を済ませる

美「おはよう・・・ダイチ、ジュー」

 美衣名がガラステーブルの向こうから微笑みかけてきた
 ・・・いつからいたんだ?

大「・・・見た?」

美「・・・何を?」

 美衣名はウサギのように頭を傾げる
 なんとも可愛らしい仕草だが・・・見てないのならまぁいいか

ガ「あ、起きたんですか、大地さん。日曜なのに早起きですね」

 食パンを皿に山積みにした少年、ガニメデがテーブルに現れた
 その皿をテーブルの真ん中に置くと、取り皿を8つ、縁に沿うように並べていく
 さらにコーヒーカップを8つ持って来て、それぞれの席に置いていく
 いつの間に食器用意したんだ・・・?

大「・・・こんなに五月蝿くちゃ、おちおち寝てらんねーよ。それに、約束もあるしな」

真「どこか行くのか?」

 目玉焼きが乗った皿を持った真亜豆が現れた
 さっきからキッチンを占領してたのはコイツか

大「行くんじゃねぇよ。来るんだよ」

 三叉の矛を布で巻きなおしていた星度、鏡を見つめていた羽羅乃、野菜をかごごと頬張っていた農土、シャワールームから顔を出した商希までもが、その一言に俺を振り返った

大「9時に俺の友人がこの部屋に来る。だからそれまでに部屋を戻してお前ら帰れ」

充「だから僕ら天界には帰らないって」

 充はいつものようにそういった後、あ、僕にはココアじゃなくてコーヒー頂戴。と、ガニメデに向かって言いながら隣に腰掛けてきた
 さして動揺しているようには見えないが、ここを出て行く気配もない

商「友人って誰?クラスメイトとか?」

農「おいしいものたべるのー?」

 他の神々の様子も同じようなもので、暢気な問いしか帰ってこない

大「クラスの奴とレポート書くんだよ。おいしい物は・・・たぶん無いな。だからせめて出てけ」

 状況を把握していない奴らに冷たく言い放ちながら食パンの耳に噛り付く
 分かってるのか、ここは男子寮の一室だぞ。誰がこんなカオスな事になってると予想できる?
 アイツが卒倒しちまうからさっさと元の状況に戻してくれ

充「要するに、大地君は僕らが住んでるってバレるのが嫌なんだね?」

大「特に美衣名がいると話がややこしくなるから急速に頼む」

美「え・・・?」

 真面目な高校生男子が金髪の美女を部屋に連れ込んでいる、なんて勘違いされたらどんな噂が立つことか・・・想像しただけで恐ろしい

大「で、出て行ってくれるのか?」

充「出て行かないよ」

大「は・・・?」

 淹れたてのコーヒーをすする横顔に、俺は思わず目を点にした

大「じゃ、じゃあどうするんだよ!?」

 慌てる俺の表情を楽しむように、充は満面の笑みを持って答えた

充「とりあえず君の服を一着貸してくれるかな」


+++++++++++++++++++++++++


 現在、時刻は8:45
 部屋は元のサイズに戻っており、隣に立つ充はローマ風の衣装の上から俺のパーカーとジーパンを着用していた
 充がいること意外は昨日の朝と変わらない感じだが、実はもう1つだけ、変わった場所がある
 ベッドの上
 ガニメデである王子のぬいぐるみを含め、多数の人形がそれとなく乗っていたのだ
 その数10個。充が持っていたのが4つ(ガニメデ含む)なので、残った6つが・・・例の神様達だ

大「・・・こんなことも出来るんだな」

充「僕自身の姿は変えられないけどね」

 充は少し短いパーカーのすそを引っ張りながら言った
 お前のほうが背が高いんだからしょうがないだろ

 それにしても・・・と人形になった神々のほうに目を配る
 イルカに猫にヒヨコに・・・これはそれぞれのイメージなんだろうか。でも赤い猫って・・・;

大「俺、こんな趣味じゃないんだけど」

充「実際僕のもあるから、全部僕が持ってきたってことにすれば?・・・うーん、手芸が趣味ってことにしておけばいいんじゃないかな」

 だからってこんなに大量には持って来ないけどな、普通
 ただの人形好きでいいだろ。と、心の中だけで突っ込む

大「あと、神様ってことは伏せとけよ。お前は俺の地元の友人」

充「大丈夫。そんなに怖い顔しなくても、むやみやたらに神様だなんて名乗らないから。信じてくれないし」

 だって、実際、君も信じてなかったでしょ?と充は苦笑交じりにこちらを振り返る
 いや、確かにそうなんだけど・・・

  ピンポーン

充「ほら、言ってたらお客さん来たみたいだよ」

大「じゃあ、上手くやれよ・・・?」

 俺は玄関先まで充を睨みつけて行った