コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: ドタバタ行進曲【B組編】第二章更新中! ( No.162 )
- 日時: 2012/12/29 05:37
- 名前: さくら ◆G87qGs20TY (ID: 6LKAGehV)
五話目
木刀を先生に返したとき、先生は泣いていた。
「おぉ!! 拙者の木刀ではないか!! 川崎殿めんぼくない…」
私は「先生————」と曖昧な返事をしたが、これは軽蔑の意味を込めてある。授業をほっぽり出して木刀などを気にするこの変人教師に軽蔑のまなざしを向けて何が悪い!! そんな事だから木刀一つも守れないんだ!!
そんな事だから彼女も出来ないんだ!!
そんな事だから先生は彼女作りは諦めているんだ!!
……すっきり、
心の内の毒々しさが徐々に消えていく感覚を覚えた。
そんな時に話は冒頭に戻る。
*
「TPOって何の略ですの??」
ニュースでしか聞いたことのない単語を口にしたのはマリーだ。
さすがにいつもニュースで流れている単語だからって、意味を知っている訳ではない、
そう思っていると私が想像していたのはTPPだと言う今さら気づく。なーんだ。
「何だろうな」
興味を示したのは拓磨。今日も漫画に御集中な様で……。
「『た』なかの『パ』ンツ、『お』ちた」
ギャグ好きのB組一寒い男、秋人に言われるとしける事しかないB組。
ってことで一同沈黙。
少し間があった後、声を出したのはたくさんの人だ。
「『ト』イレに『パ』ンツ、『お』ちた」
「また下ネタかいっ!! いや、ちょっと待て。パンツは下ネタなのか?」
「『た』いへんだ、『パ』ンツは『お』やじが使う下ネタなのかそうでないのか分からない」
「……いや、その通りなんだけどさ。今のかなり無理矢理じゃなかった?」
「イエスボス。」
先生は木刀を大事そうに眺めながら薄く笑った。
ちょっとだけ好きな光景だ。先生がこの教室で笑って授業が出来る。(そもそも授業は少しも進んでいないが)笑って授業を始めて、笑って終わる。
それが実現するクラスを私はB組しか知らない。
それにしても続くこの話題。
TPOを知らないとはB組も遅れてる、そう発言したのは歌香である。
そう言うお前はどうなんだよ、と私が心の中で毒付く。
「TPOっていうのはTime(時), Place(場所),Occasion(場合)っていう意味なの。TPOによって言葉遣いや服装を改めろっていうじゃない」
——さっきの私の毒付きはどうなったんだ。
完璧な説明をされてしまったではないか。しかも英語の授業にふさわしい流暢な英語の発音。こればかりは先生も木刀から目を離して会話に潜り込んだ。
っと、そこに試合終了を告げるチャイムが。
……終わった。
長い授業だった。長いとしか言いようがない。もう体力の三分の二は使ったようなものだ。今日は寝る事にしよう。
授業最後の号令を笑顔ですませて、私は机の上でうつぶせになった。
「にゃんにゃん、次はあの理科だおー」
芽呂に声を掛けられたとき、正直私の頭はすでに寝ていた。つまり活動停止中といった所である。それなのに『あの理科』tという単語を聞いただけで起きてしまった我が脳を尊敬する。
でもしょうがない。
『あの理科』だけで起きてしまう奴は他に100と居る事だろう。
だって英語教師に負けないぐらい、理科教師も変人なのだから。
今日の時間割は…疲れる。