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被害者の名前は雪村奈々絵ゆきむらななえさん、20代女性。近くの電気店で勤務、いたって普通の人だ。そんな彼女が殺害されたのは、彼女の自宅でもある小さなアパート。一人暮らしにしか見えない1LDKの部屋。
かなり潔癖性らしく、部屋にはほこり一つ、いや塵一つなく片付いていた。驚いた事に、シンクは水アカもなく、使ってないようにも見えた。
そんな部屋の中心に倒れていた、被害者の腹部にはこの部屋のものと見られる凶器の包丁がぐっさりと刺さっていた。
部屋の扉、窓はしっかり鍵が掛かっていて、まさに『密室殺人』だ————。

———そう設説明してくれたのは就任２年目の若手刑事、海野 風(うみの ふう)刑事だ。なかなか正義感のある人で、いわゆる熱血系に属する。

「海野、いい加減その愚民どもに説明するのをおやめになったら?」そういったのは、海野刑事の上司でもあり、リーダーでもあるマリー警部だ。(本名不詳)
お嬢様育ちのくせに警察になり、警部までになった彼女は『変わっている』と評判だ。

———……私たちは今、その殺人事件の被害者の家に着ている。
寝起きの私を引っ張って、ここまで連れてきたのはもちろん芽呂だ。

どうやらかなりの難事件らしく、海野刑事が知恵を借りるために芽呂と私を呼んだらしい。とにかく、頼まれたのなら絶対に事件をといてみせなくては。