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- Re: ドタバタ行進曲【B組編】着ぐるみ探偵スタート! ( No.225 )
- 日時: 2013/01/11 15:56
- 名前: さくら ◆G87qGs20TY (ID: vS1wLACl)
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玄関にあるインターホンを押す、しばらくすると高く陽気な声が聞こえてきた。
「は——い。あら、どなた様?」
「あ、え———っと、警察関係の者です」
しばらくの沈黙。
「詳しく言って下さる? 世の中物騒ですから」
なるほど、不審者だと思われているようだ。
無理もない、さっきの言い方は『警察ではない』っと言っている様なものだったからな。
「探偵です」
正直に、確実な返事をした。すると返ってきたのは意外な言葉だった。
「まぁ、探偵さん? お入りになって、私探偵に憧れていたのよ〜。お話が聞きたいわ」
ドアの鍵が開く音がした。
すると出てきたのは50代ぐらいの女性、少しぽっちゃりしているがどこにでも居る『おばちゃん』といった感じだ。———なるほど、この人が大家さんか。
その大家さんは私を部屋へと促した。
大家さんの部屋は被害者の部屋よりも少し広め。かなり香水の匂いがする。
(来客の時に香水を振り撒く癖があるのかもしれない)
リビングのソファーで待っていると、彼女はクッキーと紅茶を持ってきてくれた。紅茶はきっとハーブティー。香りが爽やかだから心まで爽やかになる。
彼女は私に向かい合って座り、紅茶を飲んだ。
「奈々絵ちゃんの事なんじゃない?」
彼女は被害者の名前を口にした。その顔は『辛い』『悲しい』と語り、歪んでいた。
名前の呼び方からして、仲が良かったのかもしれない。
「——はい、今日は雪村さんの事を聞きにきたんです」
彼女は静かに頷き、「事件解決なら何でも協力します」と言った。
「では、あなたの事を聞いてもよろしいですか?」
「もちろんです、私は犯人ではありませんからね。
私は西条吉子と申します。あの日、私は家で仕事をしていました。夫に先立たれ、自分で稼がなくては生活が出来ませんからね。子供も独立して、私一人。だから昨日も私以外誰もいませんでした」
……ふむ、アリバイはなしか。証明出来る人が居ないんじゃ、どうにもならない。
「お仕事と言うのは、このアパートの管理ですか?」
「ええ、来月に新しい入居者が決まったので、その手続きを」
「そうですか。——あの、それと『合鍵』の事なんですけど……」
「あぁ、はい。持っていますよ、一応管理人なんでね」
「そうですよね」
その時ちょうど電話が鳴った。私のじゃない、西条さんのだ。部屋にある固定電話からみたいだ。
「あら、ごめんなさい。また今度じっくりお話ししましょう? 奈々絵ちゃんの事件、よろしく頼むわね」
私はそのまま挨拶をして、部屋を出た。
心にモヤモヤが残る。
彼女は私を追い出すためにワザと電話を鳴らした。私と話している間、机の下で携帯をいじっているのが見えたから、おそらく携帯から家の固定電話に掛けたのだろう。
——————……何故だ?
決まっているじゃないか、『何か』を聞かれたら答える事が出来ないからだ。
私は被害者の部屋へと急いだ。