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その『年賀状』であるはがきが見つかったのは一時間後だった。
潔癖性という被害者の部屋はとても片付いていたため、案外早く見つかった。

宛名には『高橋葵』の文字。どうやらこれが彼女が送った年賀状で間違いなさそうだ。

『奈々絵へ
明けましておめでとう、今年も奈々絵と一緒に色んな思い出を作りたいな。
これから、ずっとずっと仲良くしてね (●^^●)　葵より』

少し可愛げのある丸い字。
どうって事ない、どこにでもある年賀状だった。文章の下には今年の干支である巳へびが描かれてあった。

「別に普通の年賀状だね、芽呂」私は芽呂に言った。
どうして高橋さんはこの年賀状が気になったんだろう? 証拠らしい物なんて一つもない。

「————……普通では、ないのら」芽呂はつぶやいた。うっかり聞き逃しそうになるほど小さな声だったが、私の脳裏に確かにかすめた。

———……この年賀状が普通じゃない? どういう事だ?

「何が普通じゃないか教えてよ」
「それはすぐに分かるにゃ。とにかく関係者を集めてほしいのら」
「え?」
「謎解きの始まりなのら」芽呂は意味深に笑った。