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Re: ドタバタ行進曲【B組編】顔ぼしゅーさん、開催中! ( No.335 )
日時: 2013/01/23 16:12
名前: さくら ◆G87qGs20TY (ID: Gg/cy2.F)

五話目



レシピ本を覗き込む。
『———まずはチョコを刻みましょう』


———え、これを?
この大量のチョコを刻めというのか、このレシピ本は。

紙面では、40代後半と見えるおばさんがニコリと微笑みながらポイントを説明していた。
『細かく刻む事によって、舌触りが滑らかになりますよ』だと?

————お前は悪魔か?!



落ち着け、私。
一人ツッコミなんかやめて、チョコを刻まなきゃ。



包丁を手に取り、チョコの包み紙を開ける。
その瞬間、チョコの香ばしい香りがキッチンに広がった。


瑠璃愛や、有栖など真面目(?)なタイプの子を一緒に黙々とチョコを刻む。
それを見て、何人かがチョコを刻むのを手伝い始めた。

“包丁を使っている時にはおふざけは全面禁止”

これは私の家に来る時に皆と約束した事の一つだ。
出来ない人は別室で待機。だから芽呂や梨音はリビングに追いやってWiiをしているという事だ。


————ザクンっ、ザク!!!

さっきっから凄い凄まじい音が聞こえてくるのは、クレアの方からだ。
きっとお腹が空いているのに、目の前のチョコを刻んでいる事にイライラしているのだろう。———おもしろいなぁ……。

———って、おいっっっっっ。
何、乗りツッコミしてんだ私。

明らかに、あれは闇クレアじゃんか。
私の家に被害を加えたくない。それを阻止出来るのは、私だけだ。


私は急いで自分の部屋に駆け込んで、あるものを持って帰ってきた。
この時のタイムを誰かに計ってほしかったぐらい、私は速かった。

あるものとは、『超ロングテイスト・ペロペロキャンディー』。これ一個分で、きっと4時間は闇クレアを封印できるだろう。
私は『来るべき時』のために、このキャンディーを買いだめしておいたのだ。


クレアに見せた瞬間、クレアの顔色が変わる。

「わぁ! おいしそうですね〜もらってもいいですか?」

私は頷く。そしてクレアに手渡す。


————平和が戻った……。



そんなこんなで、チョコを刻む事30分、なんとかすべて刻む事が出来た。
レシピ本で微笑んでる『デビルばばぁ』は、
『よく頑張りました』とでも言うかの様に微笑んでいる。



———さっきは悪魔なんて言ってごめんね、おばさん。



……が。
次のステップにはこんな事が書いてあった。

『刻んだチョコを湯煎ゆせんで溶かしましょう』

———おばさん、やっぱあんたは『悪魔』だったよ。
B組の皆にお湯なんて使わせて大丈夫なのか?!


おばさんは怪しげに笑っているように見えた。私の苦労は続く。