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九話目

——後日（つまり、バレンタイン騒ぎが一段落した頃）

私はいつものように、B組の教室へ足を踏み入れる。

「あ、にゃんにゃんおはよー!!」
女の子達が、声を上げて手を振る。

「おはよう」
と私はいつものように返す。


いつもの風景、いつもの朝。
——……けど、普通じゃない事がいくつか。


湯斗が男子の輪から抜け出して、こっちに向かってきた。
「あの、その。優ちゃん、おはよ」
照れているのか、はにかんだ笑顔で私の体温は一気に上昇。

「おっ、おはよう」
私も同じように、顔を赤らめながら答えた。

湯斗は笑顔で頷くと、男子の輪に戻っていった。
——……あぁー、朝から体温が……。


私も同じように、女子の輪の中に溶け込むように入っていく。
みんなの顔を見ると、何故かにやにやしてて。

「何?」
私が聞くと、瑠璃愛が軽くため息をついて笑った。

「何って、新婚夫婦のあんたに言われてもねぇ」
瑠璃愛はいつも通り、ポーカーフェイスで返してきた。

「——……新婚夫婦?! 何でそんな事になってるのッ!!」
私は体温の上昇を隠すために、大きな声で言った。恥ずかしいにも程がある。


そこに現れる、歌香と留歩。
「湯斗のやつ、私のにゃんにゃんを奪うなんて……最低ッッ!!」
「何言ってるの、ユーちゃんは歌香のじゃなくて私の!!」

……。
あえてコメントなし。
嬉しいけどね、でもちょっと今はお腹いっぱい。



そうそう、言ってない事があったよね。
結局、あれほどチョコをほしがっていたヤツバはチョコを3個もらうという偉業を成し遂げたとさ。よかったよかった。

そして、弥生と龍は見事にくっつきリア充中。
琥珀と郁実もなんとかくっつきました。

ってことで、今回のバレンタインではカップルが3組完成。


——え? もうちょっと居ないの?って?
ちょっと色々あったんだよね。


遥華は石川先生にチョコを受け取ってもらったため、最近のテンションが異常。
ちょっと怖いので、あえて見せない事にしよう。

肇は拓磨にチョコをあげたけど、拓磨は難なく拒否。
それを見た馬場先生は、拓磨に強制補習を受けさせる始末。


私も、歌香と留歩から『本命チョコ』をもらいかけたけど、
「本命チョコっていうのは、私にじゃないでしょ」とかわしてみせた。


———ってことで、今年も大事件なくバレンタインが終了。
めでたし、めでたし。








あ、大事件なら
クレアの作ったチョコに爆弾物が入ってて、一部の男子が負傷したぐらいかな。
その男子が可哀想だから、誰かは内緒だけどね。