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コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: ミカエル図書館の館長は中二病でした。 ( No.2 )
- 日時: 2012/11/30 20:16
- 名前: 香里ー奈 (ID: 5mOY6DaX)
第一話
「まいった・・・」
四賀拓磨は今、道に迷っていた。
現在、町にある小さな山にいる。
その山で拓磨は、宛てもなくブラブラと歩いていたのだ。
普通なら迷うはずがないが、何せ今は夜だ。
薄暗くてあたりが見えない。
そういうわけで、今の状況になる。
———どこか、家があれば
そんなことも考えたが、こんな山に家なんてあるはずがない。
「はあ・・・」
拓磨はとうとう溜息を吐いた。
溜息は吐かないとずっと心に決めていたが、結局出てしまった。
今までの人生で初めて溜息というものを吐いた。
もう、何分この山をさまよったのだろう。
あたりはもうすでに真っ暗だった。
「やば・・・・」
このあたりでは最近、野犬が出るという情報があった。
こんな夜には、野犬の活動はもってこいだ。
その時だった。
すぐ近くで唸り声が聞こえた。
それも、正面にいそうなほどに近かった。
「グルルルル・・・」
はっきりと、声が聞こえてきた。
ヤバい。非常にヤバい。
拓磨は回れ右をして、全速力で走った。
「はあ・・はあ・・・!」
気がつけば、見知らぬ明かりのついた図書館のような所についた。
もう野犬は見当たらなかった。
「こ、こんな所に図書館が・・・!?」
にわかに信じられなかった。
ゴクッと唾を飲み込んだ。
拓磨はそっと、図書館の扉を開いた。
———そこは、
一言で言うと、ファンタジーにでてくる城の中にある書庫のようだった。
燃えるように赤いレッドカーペットに、古めかしい木材の本棚。
西洋のような窓。
中二的妄想をするのにはもってこいだろう。
「こんばんは」
不意に、女性とおぼしき声がかかった。
拓磨は後ろを振り返った。
そこにいたには———
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