コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: ミカエル図書館の館長は中二病でした。 ( No.3 )
- 日時: 2012/11/30 20:16
- 名前: 香里ー奈 (ID: 5mOY6DaX)
第二話
「こんばんは」
不意に声がかかった。そこにいたのは———
「こんな時間にご来客なんて・・・ご利用ありがとうございます」
女性だった。
この図書館の従業員だろうか、と拓磨は思った。
予想は的中したと思う。なぜなら、服装が従業員のそれだったからだ。
ギンガムチェックのシャツと地味なロングスカート。
その上に、シンプルな緑のエプロンをしていやたからだ。
「あの・・・お客様?こんな夜に、どういったご用件でここに?」
拓磨ははっと我に返り、必死に言葉を考えた。
先ほどまで考えていた言葉が跡形もなく消え去ってしまった。
———なぜなら、そこにいた女性がとてつもなく好みだったから。
やっと言葉を思いついた。
「えっと・・実は野犬に襲われまして・・・急いで逃げてきたのが
この場所ということだったんです」
——ま、ここに住んでるってことはそういうこともよくあるんだろうな
と、思ってあまり驚かないと思っていたが——
「ええぇ!?大丈夫でしたか!?お怪我はありませんか!?」
ものすごく心配している。意外だ。
「あの・・この山じゃよくあることじゃないんですか・・?」
「いや〜、そういう話を聞くのは今日が初めてです。ていうか、
本当に大丈夫ですか?」
どこまで心配性なのだろう、この人は。
「で、どういったご用件で?」
この人はさっき言ったことを聞いていなかったのだろうか。
「い、いや、さっき言ったとおり・・」
「あ——!!わかった!普通に本をお読みにいらっしゃったのでしょう!?わざわざありがとうございます!」
「だから———」
言おうとした言葉を飲み込んだ。
なぜ、彼女が妙に貧相な服装なのか、やっとわかった。
それに少しぐらいここにいたっていいじゃないか、という
軽い気持ちがあったからだ。
「こんな時間帯でも、この図書館は開館しているんですか?」
「いえ、本当は2時間前に閉館しているはずですが、こんな夜にわざわざ来てくださったので、今回は特別によろしいですよ」
と、言われてもなんか罪悪感バリバリな気がする。