コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: ミカエル図書館の館長は中二病でした。 ( No.4 )
- 日時: 2012/11/30 20:17
- 名前: 香里ー奈 (ID: 5mOY6DaX)
第三話
拓磨はとりあえず中をうろちょろすることにした。
古い紙のにおいがぷんぷんとにおう。
拓磨はある本に興味を持った。
赤い表紙の本や、青い表紙。そして、輝く金色の表紙など、
色とりどりの本が並べてある。本に題名と思しきところはない。
「その本は一般の人から募集した物語を一冊にまとめた本なんですよ」
気づくとまた後ろにあの女性がいた。
「そ、そうなんですか?へ〜・・・」
曖昧な返事をしたあと、女性はキラキラ輝く笑顔を向けてきた。
そして興奮したように、話し始めた。
「例えばですね〜・・・この赤い表紙!これはコメディ系の物語があります!そしてこの紫は・・・ダークやホラー系ですね!そしてはたまたこれはシリアスとかです!みなさん一般人ですけど、面白い小説書いてきてくれるんですよ〜!」
約2行分、台詞だけですませた。
「で、この金色の表紙はなんですか?」
気がつけば拓磨も女性の話に取り込まれてしまった。
「これですか!?これはみなさんの投票の結果、『これだ!』と
思ったものをまとめた『殿堂入り』の作品なんです!!
ほかの人のやつも面白いですが、ここに集まった作品はもっと
面白いですよ!!」
彼女の目を輝いていた。それほど、本が好きなのだろう。
拓磨はほかの所もぶらぶら周った。
この図書館には最近出版されたものもあれば、大正や昭和の時代の作家が書いた古書もある、範囲が広い図書館だ。
拓磨はあることに気がついた。
この店なら———
拓磨は踵を返し、女性店員の元へ向かった。
女性は拓磨が近付いてきたのをいち早く気づき、あちらから
問いかけきた。
「はい、どうしましたか?」
拓磨は息を大きく吸い込んだ。
「俺を———この図書館の司書にしてください!」
少し沈黙。
「・・・・は?」
その女性の口から聞いたこともない言葉が返ってきた。
だが、拓磨はかまわず話しを続けた。
「この図書館見たところ、館員はあなただけでしょう?
きっと人員不足に悩まされてたはずです。
それに俺は20なのですが、大学にはいっていません。それに無職です
図書館の経験なんて一度もありません。仕事に就くことだって、
めんどくさがってました。だけど今回は違います!!
今回は、あなたを助けたい。そう思いました。
だから、お願いします!この俺を雇って———」
「いいですよ?」
返事は拓磨の台詞が言い終わる前に、言われた。
「そうですよね・・・いきなり雇えなんて言われても、そりゃ困りますよね・・・。わかりました。ほかの所に・・・・って
ええええええええええええ!!!?」
ここが、山の中でよかった。と、拓磨は心の中で思った。
住宅街だったら苦情がきていただろう。
「って、ええ!?いいんですか!?こんな働くという言葉を知らない
バカに任せて?」
「いやー、私も悩んでたんですよ。人員不足。
働いてくれるなら、正直誰でもいいや〜って思ってたんです」
「そ、そうだからって俺を?」
「あれ、働かせてくれって頼んできたのはおたくでしょ?」
たしかにそうだ。でも「いい」と言われるとなんだかひける。
「というわけで、今日からあなたは我が『ミカエル図書館』の
司書です!がんばってくださいね」
妙に名前が中二くさかった。
「あの・・・これからは呼び捨てにしませんか。どうやら年も近そうだし」
というか拓磨はその女性の名前も知らないのだが。
「いいよ〜、私の名前は柊 瑠佐奈!君の名前は?」
切り替えが早い。
「拓磨・・・四賀 拓磨」
「よろしくね拓磨!」
ぎゅっと握られた手が、熱くなった。