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- 第二話 ストーカー注意報 ( No.16 )
- 日時: 2012/12/28 14:35
- 名前: 雪達磨 ◆1x97e8uwoc (ID: iWD.qGKU)
莉緒はくるりと振り返り、そのまま近くの角へ進む。
「ちょ、! 大丈夫かな近づいちゃって」
「大丈夫だろ、莉緒だしなあ」
「一つ、心配なことがあるとすれば、怒ると困るな」
「……へえ、莉緒って怒ると怖いんだ?」
綺羅が苦笑しながらそれに頷く。
その苦笑が綺羅には珍しくて、余程怖いのだろうと、莉緒を怒らせるのはやめようと思った。
「もしキレたらお前が止めろよ? リーダー」
「……程度による」
距離が更に遠くなったため、莉緒が何か話しているようなのだが聞こえない。
「なあ、もう少し近くに行くか?」
「いや、大丈夫」
「大丈夫って……」
蓮の手にはリモコン型の物が握られていて、それが何なのかは何となく理解しつつも、綺羅は問う。
「……なにそれ」
「盗聴器」
「お前怖い。まじで」
「たまたま持ち歩いてたやつを使っただけだよ」
「なんで持ち歩いてんの?」
取り敢えずはその盗聴器をonにする。これ犯罪だよね、という愛理のもっともなツッコミが聞こえたが。
——
「えーっとね、君が僕のストーカーさんなんだお?」
できるだけ口調は軽く。気にもしていないかのように。
(重っ苦しい空気は、苦手だからね)
「そうだけどぉ? ってか、気付いてたんだねぇ」
「うん、あのね、今なら許すし? やめてほしいんだお」
心臓は軽く跳ね、それを抑えるように胸に手を当てて深呼吸した。
「お前さぁ、勘違いしてるみたいだから言っとくけどお前に寄ってくる男って全部その顔で寄ってきてるだけだぞぉ? 性格もそんなよくないみたいだしさぁ」
「……は」
その後に続く言葉は、恐らく莉緒を否定する言葉だったのだろう。
パッと一瞬だけ視界が白くなり、また来る、と思った。
「お前みたいな奴は、生きてる資格もねえな。と俺は思うわけだ」
突然聞こえたその声に、その場にいた全員がぴくりと反応した。
瞬間、蹴り倒される音が聞こえ、目の前にいるのはあの下品な男ではなく。
「ご無事ですか、お嬢さん」
「え、はい……?」
跪いて手を差し伸べる姿勢を取る姿に、莉緒も少し困惑する。
「ちょ、流空!」