コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

第三話 年末study ( No.20 )
日時: 2013/01/01 13:05
名前: 雪達磨 ◆1x97e8uwoc (ID: bT0lLasb)

「んで、なんでお前らまでいるんだよ」

始まった勉強会では瑠璃と莉緒の他にも、愛理に蓮、ソルまでがいた。メンバー全員が揃っている。

「あたしも勉強教えてほしいなー、と」
「面白そうだから」
「女性がいるから」

そうだここ、変人しか居ないんだった。そうだった。
そういえば中学時代に、ソルが留年しかけたことをそこで思い出す。

「ソルって確か中学の時、留年寸前だったよな」
「ああ。出席日数が足りなくてなー! 勉強ならそこそこだ」

正直、綺羅の成績は凄まじい物だった。五教科合計41点。見事に赤い文字で点数が刻まれたテストは、目を背けたくなるような物だった。

「ハゲ、何から始める?」
「社会?」
特に社会が苦手とか得意とか、そういうわけではなかったが。暗記教科の方がましだと思った。

「大化の改新を行った人物を二人」
「ペルー?」
「十七条の憲法とは」
「ペルー?」
「大政奉還が行われたのは」
「ザビエル!」

「なんで最後ちょっと自信ありげに言った!?」

愛理は莉緒と一緒に勉強しているらしく、ソルもそれに混じり、蓮は傍観している。

「そこ違う。いや全部違うが。幕府縄文時代にないから。人類進化しすぎだから」
「猿のことなんて知らねえよ!」
「アウストラロピテクスに謝れ!」
「なんだその長ったらしい名前の怪物は!」
「君はもう全人類に謝れ! いやまず私に謝れ!」

中学一年、否もっと前に習ったような初歩の問題から分からないのである。
ここまで来ると、呆れを通り越して感心してしまう。

「……どう勉強すればそんなこと覚えられんの?」
「普通に勉強すればそれなりには覚えられるだろう」

「じゃあ、蓮。どうやって勉強してる?」
「? 教科書なんて一度見たら丸暗記できない?」
「できねーよ」
「東条君、今回も学年一位だったんだよねー」
「……この同盟、頭良い奴地味に多くね」

愛理にも聞いてみたが、塾に通っているらしい。「日々予習復習を欠かさないこと」という瑠璃の真面目過ぎる解答は聞かなかったことにした。

「……そういえば、もう十時くらいか」
ふと、瑠璃が時計を見ながら言った。今日は大晦日。年を越すまであと二時間である。
「え!? ちょ、ごめん! あたし帰るね!」
恐らく門限でもあるのだろうか。慌てた様子で愛理が帰る準備をしだした。