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コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 幸福論 【コメント・アドバイス大歓迎*】 ( No.2 )
- 日時: 2012/12/11 16:48
- 名前: 逢衣 (ID: hLayjJCv)
- 参照: 「第1話」
——私は世間が大嫌いで、世間も私が大嫌いだった。
履きなれないコンバースの白いスニーカーは、地面の砂利をザリ…、と鳴らせる。
ほら、クラスの女子に言い寄られるのも、面倒。
(あぁ、もう)
「だから、烏野さん。斉藤君に色目使うのやめてって言ってるの」
誰、斉藤。
少なくとも4組の奴ではないはず。
3組、それとも5組。
「何?2組の斉藤君のこと好きじゃないの」
2組か、と心の中で思うと、私は言う。
「誰、それ。斉藤とか知らないから」
ぽかん、と一瞬そんな顔をした彼女等は、また目つきをキッとして、私に詰め寄る。
女子とか、人間関係とか、恋とか、もう、何もかも面倒で。
こんなにも広い世界の果てにいる私に、何か「幸せ」を神様は何故与えてくれないのだろう。
烏野って苗字だって。
「トリノ」さんって呼ばないでってば、誰、鳥野。
そりゃ、似ているけれど。
(あぁ、もう)
再び私はそう思うと、何処か空で啼く鴉を自分に当てはめてしまった。
彼女等が、「もう、いいわよ」というまでに、私は何度、面倒と思うのだろう。
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