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Re: 浅葱の夢見し ( No.104 )
日時: 2013/04/07 08:22
名前: いろはうた (ID: vpptpcF/)

*カエデは、己の手に絡むシキの手を全力でひっぺはがした。

「皇子だか何だか知りませんけど、とりあえず離れてください!!」


「ずいぶんとつれない巫女だな。

 無理にさらってもかまわないが?」

手を振り払われたことにも、シキは笑っている。

レイヤの刀がさらにシキの首に押し付けられる。

薄皮が切れて紅がにじんだ。

「レイヤ!!」

「・・・おまえは黙ってろ」

低く押し殺した声にカエデは口をつぐんだ。

「まあいい。

 どちらにしろ、まだわが屋敷は巫女を受け入れる準備などしておらぬ。

 それが済んでから、あらためて迎えにこよう。

 待っているがよい」

「待ちません!」

「ならば、なるべく早くに迎えに来る。

 おい、レイヤとやら、いい加減刀をどけろ」

レイヤは一瞬迷ったようだが、ゆっくりと刀をおろした。

「・・・シキ様。

 次はありませんのでお忘れなきよう」

「ああ、わかっている。

 貴様らにみつからぬよう、この巫女をさらってやろう」

最後にけだるげに微笑むとシキは廊下に上がり、ゆっくりと姿を消した。

レイヤはしばらくピリピリしてシキの去った方を見ていたが、やがて体の力を抜いた。

・・・なんだか、とんでもない相手に気に入られてしまったようだ。