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Re: 浅葱の夢見し ( No.113 )
日時: 2013/04/09 23:25
名前: いろはうた (ID: vpptpcF/)

*うつけだ


絶対に『私』を見てくれない人を


恋しいと、思ってしまうなんて






*「明日、任務が入った」

夕餉を食べているときに、ヒタギがつぶやいた。

カエデが四鬼ノ宮に来てから初めての発言である。

「よって、少なくとも数日はここに帰ってこられない」

「・・・そう」

任務というのは忍びとしてのものだろう。

そのことに関して、カエデが口を出す権利を必要もない。

しばらくの間は、砂糖まみれの言葉も降りかからないだろうし、

夜も心臓が暴れることなく静かに眠れるだろう。

何も悪いことばかりではない。

「寂しいものだな」

「え?」

ヒタギは怒っていた。

「・・・それほどまでに別れの言葉が淡白であると」

・・・いや。

怒るというよりは、すねている。

「じゃあ、なんて言えばいいの?」

「・・・・・・別にもういい」

「・・・・・・」

口調といい、仕草といい、ただのすねている子供だ。

だが、これでも四鬼ノ宮の忍び集団の頭目をつとめているのだ。

それが、納得できるようなできないような微妙な心情だ。